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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第六章―約束―#3
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ていると、レド様に名を呼ばれたので振り向いた。
「リゼに渡したいものがあるんだ」
レド様はそう言って、【
遠隔
(
リモート・
)
管理
(
コントロール
)
】で小さな箱を取り寄せる。蓋を開くと中に入っていたのは、
星銀
(
ステラ・シルバー
)
の台座に円くカットされた
聖結晶
(
アダマンタイト
)
が一つだけのシンプルな一対のイヤーカフだった。
「本来ならこれは求婚する際に渡すものだと聞いた。後になってしまってすまない」
これは、前世でいうところの“エンゲージリング”だ。
この国では、男性が、腕輪かピアスかイヤーカフのどれかを、妻となる女性に贈る。一対のものを二人で身に着けることで、周囲に婚約していることを示すのだ。
「あ…、もしかして、時間がかかっていたのは───」
「ああ。これを選んでいたからだ。俺が用意していないことが判っていたロウェルダ公爵が、商人を呼ぶよう手配していてくれたらしい」
「では、おば様は、礼服のことがなくても、最初から商人を呼ぶつもりだったんですね?」
「そのようだ」
そうだったんだ…。本当に、おじ様にもおば様にも頭が上がらない。
「リゼ…、改めて───俺の妻になって欲しい」
「はい、喜んで…。レド様」
レド様が、私の右耳の上の方にイヤーカフを着けてくれる。
「リゼも着けてくれるか?」
「はい」
今度は私が、レド様の左耳の同じ位置にイヤーカフを着ける。
「これで…、リゼが俺の婚約者だということが一目で判るな」
「レド様もですよ?これで、レド様が私の婚約者だと判りますね」
嬉しくて───幸せで、自然と顔が緩む。きっと私は今、笑みを浮かべているに違いない。レド様の方を見ると、レド様も幸せそうに笑っている。
この後の行動は、お互い聞かずとも解っていた。
「…一緒にやろうか?」
「ふふ、そうですね」
どちらからともなく、両手を繋いで、顔を寄せ額をくっつける。
「「【
最適化
(
オプティマイズ
)
】」」
レド様と私の足元に重なって展開した魔術式が、ぱあっと光を放つ。イヤーカフに魔力が流れ込むのを感じた。引っかかっていただけのイヤーカフが、耳に吸着するように張り付く。
そして、いつものように【
案内
(
ガイダンス
)
】の無機質な声が響いた。
<
永遠の約束
(
エターナル・リンク
)
>を認識───アクセスを開始します…
<
永遠の約束
(
エターナル・リンク
)
>の起動条件クリア───起動に成功しました
限定能力【
念話
(
テレパス
)
】を置き換えます────完了
限定能力【
把握
(
グラスプ
)
】を置き換えます────完了
「「…………」」
何となく、こうなるような気はしていた。
「…どう変わったんでしょうね
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