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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第六章―約束―#3
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しょう」

 おば様に促され、応接間へと向かう。そこには、お茶の準備と共にマイラさんが控えていた。


「やはり、お二人の婚約は、皇妃の差し金でしたのね。それで───どうさなるおつもりなのですか?」

 レド様が、私たちの婚約についての事情を話すと、シェリアには予想済みだったらしくそう訊かれる。

「俺は、そんなことは関係なく、リゼを妻にするつもりだ。リゼにはすでに求婚して承諾を得ているし、ロウェルダ公爵立会いの下、正式な婚約が成立している」
「………早過ぎません?」

 シェリアが、少し呆れたように呟く。

「邪魔でも入ったら嫌だからな」

 しれっと告げられたレド様の答えに、皆が生温かい視線を私に向ける。うう、何だかいたたまれない…。


「それでは、次は新年度に向けての準備ですわね。我がロウェルダ公爵家も助力を惜しみませんわ。まずは、年度初めの辞令式で着る礼服の手配からかしら」

 ミレアおば様の言葉に、私はそれを失念していたことに気づく。
 礼服をフルオーダーであつらえるには、3ヵ月前ではギリギリ間に合うかどうかだ。アトリエによっては、もう受注してくれないだろう。

「そうか、礼服───」

 レド様もそのことに思い当たったようで呟いた。

「…ラナは、礼服を手掛けたことは?」
「マドラのアトリエにいた頃にはございますが───」

 レド様の問いかけに、ラナ姉さんが戸惑い気味に答える。レド様は、ラナ姉さんに礼服を作ってもらうつもりなのだろうか。

「ですが、レド様、ラナ姉さんにはすでにレド様と私の服を頼んでありますし…、礼服までは───」
「勿論、一から作ってもらうのではなく、今持っているものか古着を手に入れて、それを手直ししてもらうつもりだ。───アトリエに依頼したら横槍が入る可能性がある。ラナに頼むのが最善だ」

 それは、確かにそうなんだけど…。でも、ラナ姉さんの負担が大きい気がする。

「そのお話───お受けします」

 私が躊躇していると、ラナ姉さんがきっぱりと宣言した。

「でも、ラナ姉さん───」
「大丈夫よ。心配しないで、リゼ。二人分の礼服を一から作るなら無理だけど、手直しなら、頼まれている分と並行しながら出来るわ。やってみせる」
「本当に───本当に、大丈夫?無理してない…?」

 3年前の弱った状態のラナ姉さんの姿が、頭を過る。

「本当にリゼは心配性ね。大丈夫よ、無理なんてしてないし、するつもりはないわ。今度は3ヵ月の猶予があるのよ。元になる礼服を選んで、どんな風に手直しするのか考えて、仕上げるには十分よ。頼まれている殿下の夜会服と普段着に、リゼの親衛騎士や補佐官としての服もちゃんと作れるわ。…だから、わたしにやらせて、リゼ」


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