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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第六章―約束―#2
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すか?」
「初めから───親衛騎士候補がリゼに変更したと知らせが来た時点で、婚約者になると聞かされていた」
「おじ様の方へ話を通していないということは、皇妃は、私たちを正式に婚約させる気はなかったということでしょうか?」
「いや、あの皇妃は、多分、宣言してしまえば婚約が成立すると思っているんじゃないかな。そして、後のことは今の時点では何も考えてないと思うよ」
おじ様の見解に、私は驚いてしまった。今までの所業から、私は皇妃のことをもっと狡猾な人物のように想像していたからだ。
それに気づいたおじ様が、引き続き説明してくれる。
「世間では国の中枢を牛耳る狡猾な人物のように考えられているけれどね、あの皇妃はそんなんじゃない。何と言うか…、根幹がないんだ。物事をちゃんと見ていないし、深く考えていないんだよ。
その時の気分や軽い思い付きで物事を推し進める。倫理観も罪悪感も欠如しているから、本当に軽く、その瞬間の自分の感情だけで推し進めることが出来てしまうんだ。
しかも、その下らない思い付きを、ベイラリオ侯爵や取り巻きたちが一々叶えてしまうから手に負えない。
たとえば、見目を気に入って強引に自分の専任にした騎士を、ある日くしゃみをした顔が醜かったという理由で首にしたりするんだ。それも、配置換えをするのでなく、騎士職自体を懲戒免職にしてしまうんだよ。
当然、そんなことをしたらその騎士の将来が完全に断たれてしまうことなど、微塵も考えていない。それ以前に、その騎士が衣食住を必要とする人間だと理解していないのだろうと思うよ」
「…そこまで、酷いのですか」
唖然とした気持ちで私が呟くと、レド様が悔し気に話を繋げる。
「ああ、あれはそういう女だ。母が命を失うことになったあの件も、別に自分の息子を皇王にしたかったからとかそういう理由じゃない。ただ、自分が生んだ皇子より話題になったのが気に食わなかっただけだそうだ。
爺様の───ファルリエム辺境伯領に隣国ミアトリディニアが攻め入った件だって、公務をし始めた俺が鬱陶しくて、俺の後ろ盾が失くなればいいという軽い気持ちで、手引きをしたのだそうだ」
「そんな───そんなバカげた理由で…?」
あのとき辺境伯軍が負けていたら、この国は隣国に蹂躙されていたはずだ。皇妃の浅はかさに、ぞっとしてしまう。
「勿論、実際に実行犯を手配した輩はそうではないだろうが、あの皇妃にとってはそうだったと聞いている。どちらの件も堂々と取り巻きにそう宣っていたらしい」
信じられない…。何でそんな人をのさばらせているの?
「ロウェルダ公爵、俺は、皇妃がまた厄介なことを言い出さないうちに、リゼと正式に婚約を交わしたいと考えている」
「そうでしょうね。殿下はそうお考えになるだろうと思
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