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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第五章―夜会とお披露目―#4
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」
イルノラド公女があの勝ち誇ったような笑みを浮かべて、重そうなトレーンをずるりと引き摺りながら一歩進み出て、ドレスのスカートを摘んでお辞儀をしたのだが、あまり優美には見えなかった。
「続きまして、第二皇子ルガレド殿下の親衛騎士となられた、ファルリエム子爵リゼラ様────」
ざわ───と、観衆がさざめいた。
私はそれを無視して、一歩進み出てスカートを摘んで、ゆっくりと身を屈めて
頭
(
こうべ
)
を垂れた。
同じ壇上にいる、皇王陛下と侍従以外の皇族たちが驚いている様子が、伝わってくる。
特に───イルノラド公女が睨むように私を凝視しているのが感じ取れた。
【
認識妨害
(
ジャミング
)
】は解除していたが最後に入場したため、レド様と私がいることに気づいていなかったのと、私がファルリエム子爵を継承していたことを知らなかったせいだろうと思う。
「リゼラ様が先日ファルリエム子爵を継承されましたこと、それから、めでたくも第二皇子ルガレド殿下とファルリエム子爵リゼラ様のご婚約が成立いたしましたことを、ここに併せて報告させていただきます」
「!?」
続いて告げられた侍従の言葉に、今度は私が驚かされた。
レド様と私が婚約…!?
どういうこと?────私は何も聞いていない。イルノラド公爵も公爵の側近も何も言っていなかった。公爵はともかく、あの側近が言い忘れたとは思えない。
パニックになりかけるが、ここは公の場だ。取り乱してレド様に恥をかかせるわけにはいかない。
私は周囲に気づかれないよう一息
吐
(
つ
)
いて、気持ちを切り替える。追求するのは後だ。
ジェミナ皇妃がしゃしゃり出てきて、さらに言葉を続けようとした侍従を遮った。
「今宵は、我が皇子ジェスレムとイルノラド公爵ファミラ公女のために、よく集まってくれましたわ。ファーストダンスはジェスレムとファミラ公女が踊る予定でしたが、ファミラ公女が訓練中に足をくじいてしまいましたので、出来なくなってしまいましたの。ですから、代わりにルガレド皇子とその婚約者、元イルノラド公爵家息女のリゼラが踊りますわ。皆、楽しんでくださいませ」
『元イルノラド公爵家息女』という辺りはいらなくない?
まあ、でも、やっぱりね。こう持ってくるだろうとは思っていた。
「リゼ、一曲、お相手願えるだろうか」
「はい、喜んで───レド様」
レド様が差し伸べてくれた手に、私はそっと自分の手を重ねた。レド様に手を引かれ、寄り添って階段を降りる。
「あれが、イルノラド公爵家の次女の────」
「あら、元でしょう。今はもう除籍されて────」
そんな言葉が耳を掠めたが、音楽が始まって、レド様に抱き寄せられたときには、も
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