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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第五章―夜会とお披露目―#4
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皇子の服装は、イルノラド公女の色ではないんですね。まあ、でも金色のジャケットだから、お揃いということなんでしょうか」

 イルノラド公女のドレスとは違う生地を使っているようで、あそこまで金ピカではないけど。

「……どうだろう。あれは、ただ自分の色を身に纏っているだけのような気もするが」

 などと、レド様と話していると────ジェミナ皇妃が現れた。


 このレーウェンエルダ皇国の現皇妃────ジェミナ=アス・ル・レーウェンエルダ。

 契約の儀のとき初めて目にしたが、遠目だったので、あのときは雰囲気しか判らなかった。

 今日、間近で見てみて、思ったよりも普通の女性だなというのが第一印象だ。艶やかだがくすんだ色合いの紺色の髪にジェスレム皇子と同じ濃緑色の眼をしている。

 派手な化粧とドレスで着飾っている分、それが出来ない庶民や下級貴族などよりは綺麗に見えるというだけで、顔の造作はよく見るとそれほど整っておらず、所作もあまり美しいとは思えない。

 この人が…、レド様の人生を狂わせ、この国を乱しているのか────


「あら、来ているのは、おまえたちだけ?」
「ええ。僕たちの他はまだのようです」
「あの野獣の子と出来損ないの娘も、まだ来ていないの?」

 野獣の子?────まさか、レド様のこと?

「ええ、来ていませんよ。昨日知らせが行ったらしいですから、今頃は支度に四苦八苦しているのでは?」
「うふふふ、大変でしょうね。何も持たされずにイルノラド公爵家を追い出されたのでしょう、その出来損ないの娘は」
「はい、皇妃様。着の身着のまま、邸を出て行ったと使用人が申しておりましたわ。今まで何も貢献せずに、公爵家の財産を散財してきたんですもの。当然の報いですわ」

 ……この女は何を言っているのだろう。私が────散財した?

「あの野獣の子では、ドレスなど用意できないでしょうからね。どうするつもりなのかしらね?」
「古着でも引っ張り出してくるのではないですか?きっと、二人で皇宮主催の夜会にあるまじき格好で出席するのでしょう。恥ずかしい限りですよ。アハハハハ」
「その出来損ないの娘は、マナーも教養も習ったことがないのですって?」
「ええ、そうなんですの。何もやりたくないと駄々をこねて、部屋から出ても来ませんでしたのよ。わたくしも何度も注意したのですが、悪態をつくばかりで────本当に、どうしようもない子で…。お母様も心を痛めているのに、何度言っても解ってくれなくて」

 どうして、この女は────平気でこんな嘘をつけるのだろう。悪びれもなく、嘲笑いながら─────

「まあ、貴女も大変だったわね。その出来損ないの子は、今日はダンスを踊ることになっているのに、大丈夫なのかしら?」
「今
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