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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第四章―ロウェルダ公爵邸にて―#5
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た。いつも、地に足がついていないような感覚が消えなくて、不安定で心細かった。
自分にもどんな時でも心配してくれる『家族』がいるのだと思うだけで、心持ちがこんなにも変わるなんて思ってもみなかった。
リゼラを失いたくない────ルガレドのその気持ちは痛いほど解る。
ラナだって、リゼラを───唯一の『家族』を失いたくない。以前の、あの放り出されたような心細さなど、二度と味わいたくはない。
ただ────
「確かに殿下のお気持ちはわたしも解りますけど…。それにしても、殿下のリゼに対するあの思い入れようは、何と言うか…、ちょっと重すぎるような…。リゼと殿下は三日前に初めて会ったんですよね?」
「まあ、仕方ないのではないかしら。殿下はリゼに一目惚れしたみたいなのよね」
「ひ、一目惚れ?」
「ええ。契約の儀のとき、わたくし、殿下がリゼを粗雑に扱ったり、疎んじたりするようなら、どんな手を使ってでもリゼを取り戻すつもりでいたのよ。だから、観察していたのだけれど、殿下ったら、リゼを一目見た途端、立ち止まってリゼに見惚れてたのよ。あれ、完全に一目惚れだったと思うわ」
「ええっ。でも、先程のあの感じでは、そんな軽い想いではなかったというか…」
「一目惚れした相手がイルノラド公女のような人だったならば、すぐに冷めてしまうでしょうけれど、相手はリゼよ?一目惚れした上に、人柄にさらに惚れ込んでしまったのではないかしら」
「ああ…、ありえますね」
きっと、ラナのあの可愛い妹は、ルガレドに対してもいつものように接したのだろう。
「ラナ」
名を呼ばれ、ラナがシェリアに意識を向けると、シェリアの表情は凪いだものに変わっていた。
「心配する必要はないわ。確かに、殿下の立場は危うい。でも、リゼが殿下を護ることを決めたのなら、わたくしはそれを手助けするだけよ。
わたくしが…、いえ、このロウェルダ公爵家が、決して、リゼを皇妃一派に害させなどしないわ────」
シェリアはその太陽のような瞳を煌かせ、強い眼差しで言う。
ラナは、はっとするような思いで、シェリアを見返した。
やはり、シェリアは自分とは違う存在なのだと、ラナは思い知る。
ここにいるのは、紛うことなき、このレーウェンエルダ皇国の筆頭ロウェルダ公爵家の公女なのだ、と────
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