暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第四章―ロウェルダ公爵邸にて―#5
[5/5]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
じた。いつも、地に足がついていないような感覚が消えなくて、不安定で心細かった。

 自分にもどんな時でも心配してくれる『家族』がいるのだと思うだけで、心持ちがこんなにも変わるなんて思ってもみなかった。

 リゼラを失いたくない────ルガレドのその気持ちは痛いほど解る。

 ラナだって、リゼラを───唯一の『家族』を失いたくない。以前の、あの放り出されたような心細さなど、二度と味わいたくはない。

 ただ────

「確かに殿下のお気持ちはわたしも解りますけど…。それにしても、殿下のリゼに対するあの思い入れようは、何と言うか…、ちょっと重すぎるような…。リゼと殿下は三日前に初めて会ったんですよね?」

「まあ、仕方ないのではないかしら。殿下はリゼに一目惚れしたみたいなのよね」

「ひ、一目惚れ?」
「ええ。契約の儀のとき、わたくし、殿下がリゼを粗雑に扱ったり、疎んじたりするようなら、どんな手を使ってでもリゼを取り戻すつもりでいたのよ。だから、観察していたのだけれど、殿下ったら、リゼを一目見た途端、立ち止まってリゼに見惚れてたのよ。あれ、完全に一目惚れだったと思うわ」

「ええっ。でも、先程のあの感じでは、そんな軽い想いではなかったというか…」
「一目惚れした相手がイルノラド公女のような人だったならば、すぐに冷めてしまうでしょうけれど、相手はリゼよ?一目惚れした上に、人柄にさらに惚れ込んでしまったのではないかしら」
「ああ…、ありえますね」

 きっと、ラナのあの可愛い妹は、ルガレドに対してもいつものように接したのだろう。

「ラナ」

 名を呼ばれ、ラナがシェリアに意識を向けると、シェリアの表情は凪いだものに変わっていた。

「心配する必要はないわ。確かに、殿下の立場は危うい。でも、リゼが殿下を護ることを決めたのなら、わたくしはそれを手助けするだけよ。
わたくしが…、いえ、このロウェルダ公爵家が、決して、リゼを皇妃一派に害させなどしないわ────」

 シェリアはその太陽のような瞳を煌かせ、強い眼差しで言う。

 ラナは、はっとするような思いで、シェリアを見返した。

 やはり、シェリアは自分とは違う存在なのだと、ラナは思い知る。
 ここにいるのは、紛うことなき、このレーウェンエルダ皇国の筆頭ロウェルダ公爵家の公女なのだ、と────

[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ