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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第四章―ロウェルダ公爵邸にて―#4
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 よし、それでは試してみようかな。

「【(エクス)(チェンジ)】───CR1」

 魔術式が現れ、光を発した。光は私の全身を包む。

 光が晴れたとき、私の格好は、昨日登録しておいた、冒険者として活動する際に着けている装備に変わっていた。鏡で確認すると、髪型もただのハーフアップに、顔もノーメイクになっている。

「リゼ?今何をしたの?」
「うん、ちょっと待って。…【(エクス)(チェンジ)】───CR5」

 再度、魔術式が現れ、光に包まれる。

 視界が戻ると、先程のドレス姿に戻っていた。鏡を確認すると、髪はさっき結い上げてもらった状態に、そして顔は化粧を施してもらった状態に戻っている。

「やった。大成功!」

「ねえ、どういうことなの?」
「ええっとね、ドレスを着て髪型も化粧もやってもらったこの状態を、記録したの。だから、いつでも魔術でこの状態になれるようになったというわけなの」
「…よくわからないけど、わかったわ。とにかく、今のその姿にいつでもなれるようになったのね?あの貴族章をつけたときみたいに」
「うん、そういうこと。…自分では髪も化粧も出来ないから、これで解決したわ」

 あれ───でも化粧は頑張れば自分でも出来たかな。一通りやり方習っているし。

 まあ、いいか。手慣れていない私のメイクより、カエラさんの綺麗なメイクの方が断然いい。

「あら、あの魔道具でいつでも来れるのだから、当日来ても良かったのではないの?」
「当日は、おば様もシェリアも支度があるんだから、そんな迷惑はかけられないよ」
「…そんなことはないわよ、と言いたいところだけれど、大変なのはカエラたちなのだから、わたくしが言うべきではないわね」

「いえ、仰っていただいて大丈夫です、シェリアお嬢様。…リゼラ様、そのようなお気遣いは不要でございます」

 気配を消して佇んでいたカエラさんが、珍しく強い口調で言う。

「…ありがとう、カエラさん。何かあったときは、また頼らせてもらうから」

 カエラさんは黙って一礼すると、一歩下がって、シェリアの後ろにまた控えた。


◇◇◇


 応接間に戻ると、レド様は一人でお茶を飲んでいた。ソファに座り、その長い脚を組んでいる。レド様は何をしていても様になるな…。

「お待たせしました、レド様」
「考えていた通りに出来たのか?」
「はい、おかげさまで。これで、夜会の格好の方は大丈夫です」

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