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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第四章―ロウェルダ公爵邸にて―#2
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「さっきのリゼの格好、何かに似ていると思ったら、絵本の『邪竜と姫騎士さま』の姫騎士に似てない?」
シルムが首を傾げて言い、シェリアが、あっ、と声を上げる。
「そう言われてみれば、そうだわ。ティアラとイヤリングをつけて、白いドレス姿で、大きな剣を携えていたわね」
そんな絵本あったな…。孤児院に置いてあって、下の子たちに読んであげたっけ。
「あれって、実際にある伝説を元に書かれているらしいですよ」
と、ラナ姉さん。孤児院に出入りしてた商人が確かにそう言ってたな。
「ということは────その伝説になった人は、
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
とやらの一人だった?」
「その可能性が高いわね…」
あれ、そういえば、イルノラド公女も、契約の儀のとき似たような格好していた気がする。もしかして────あの絵本の姫騎士か伝説にあやかって、とか?
◇◇◇
その後、何とか気を取り直して、夜会に身に着けるものを選び終えた。
何だかんだで正午までかかってしまったために、昼食までご馳走になり、午後はダンスのおさらいをさせてもらった。
そうして、結局、街に買い出しは行けずに夕方になってしまった。
「晩餐も食べて行けばよろしいのに」
「ありがとうございます、おば様。でも、皇城の門限もありますから。それより、食糧まで分けていただいてしまって…。本当にありがとうございます」
買い出しが出来なかったので、公爵家の備蓄分を少し分けてもらえて本当に助かる。
勿論、お代は払った。いらないと言われたけれど、レド様の食費なんだから、ちゃんと予算から出さないと。
「ロウェルダ公爵夫人、本当に世話になった。夜会服も結局、いただいてしまって─────」
そうなのだ。私の礼服の時同様、レド様の夜会服一式の代金は受け取ってもらえなかった。
「いやですわ、殿下。言いましたでしょう、これはわたくしからの“甥”への成人のお祝いだと。着古したもので大変申し訳ないのですけれども、それでも祝う気持ちは本当ですのよ」
「ありがとう。着古したものなどと、とんでもない。大事な一着を譲っていただけて、本当に嬉しく思う」
レド様とおば様のやり取りを見ていて、私も嬉しくなった。
おば様は、家族に恵まれていないレド様にとって、今のところ唯一好意的に接してくれる血縁のはずだ。
「それでは、皆、今日はありがとう。失礼する」
「結局、一日つきあわせてしまって、ごめんなさい。でも、本当にありがとう」
私たちはそれぞれお礼を告げて、ロウェルダ公爵邸を後にした。
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