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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第四章―ロウェルダ公爵邸にて―#2
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力なしでは発動しないのではないかと思う」
「何だ、残念だな。僕も、公爵家を継いだら、その聖騎士になれるかと思ったのに……」
本当に残念そうにシルムが呟いた。
「それで、どうやったら、元のドレス姿に戻れるんですの?」
シェリアに言われて、はっとする。そうだ、元に戻らないと。
「レド様、【
解析
(
アナライズ
)
】で見てもらえませんか?」
「解った」
◇◇◇
「…………」
【
解析
(
アナライズ
)
】を使用したレド様が、黙り込んでしまった。
え───そんなにアレな結果なんですか?
「レ、レド様?」
「ああ、すまない。…いつも通り、驚くべき結果だったんでな。
まず、その格好は、“
聖騎士
(
グローリアス・ナイト
)
の正装”だそうだ。そのティアラと髪飾りは、戦闘時、五感の処理能力と思考能力の速度を上げるらしい。そのイヤーカフは、魔素を取り込み、魔力に変換するとのことだ。そのため、魔力量が増量、魔力量の回復速度が上昇するみたいだ。そのメダル───“
認識章
(
コード・クレスト
)
”はすべての身体能力を大幅に上げるようだ。
これらの装身具はセットで、すべてを装備すると、常に魔力のベールを作り出して身を護るらしい。
それから、その装備一式は…、どれも“神布”と呼ばれる“神獣”の鞣革で出来ていて、破けることは勿論、傷つくことも汚れることもない、伝説級の装備のようだ。
そして、その剣は────“聖剣”だそうだ。
どの装備品も、効果の程度は身に着ける者により変わるらしい。
リゼの場合は────『単独で竜種を
屠
(
ほふ
)
ることが出来る』ほどの効果が発揮できるみたいだ…」
…はい?え、今、何て?
ドラゴンが魔力に飲まれて魔獣に堕ちたことは、過去何度かあったらしい。
今はもうない北方にあったとある国に魔獣化したドラゴンが現れたときは、国家主導で、その国に存在していた騎士団総出で、何とか討ち取ったと記録にある。損害はかなり大きく、国力はかなり衰退し滅亡の原因になったとか。
その竜種を────単独で屠れる?
「【
認識章
(
コード・クレスト
)
】を身に着けるか、特殊能力【
武装化
(
アーマメント
)
】を発動すると、その完全装備状態になるそうだ。元の装備に戻るには、【
武装化
(
アーマメント
)
】を解除すればいいらしい」
「【
武装化
(
アーマメント
)
】を解除…」
レド様の言葉を繰り返しただけだったけど、足元に魔術式が現れ、全身を光が包んだと思ったら、元のドレス姿に戻っていた。
「聖剣って本当にあるんですのね…」
シェリアが、ぽつりと呟く。
そうですよね。伝説はあっても、実物は現存していなくて、今や古代人の想像の産物ではないかと思われている代物だもの。
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