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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#5
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たのか?」
「やはり、ご存じなかったですか」

 レド様は、ファルリエム辺境伯が亡くなった直後から、皇妃一派によって、それまで行っていた皇子としての公務からは外されていたが、一貴族の軍勢では手に負えない魔獣討伐などには駆り出されていたのだという。

「5回分の褒賞金がこちらになります。全部で金貨1580枚ですね。殿下の働きから考えれば、安すぎるのですが。すべてが同行した皇妃お気に入りの討伐隊隊長の手柄になってしまっているのと、『公務をしないのだからそんなに払う必要はない』という皇妃の一声で、かなり減額されています」

「…何ですか、それ。ふざけていますね。そもそも、『公務をしない』のではなくて、『させてくれないから出来ない』の間違いでしょう」

 思わず、凍てついた声が出る。シェリアじゃないけど───全員、呪われてしまえっ。

「いいんだ、リゼ。俺は、それでも自由に出来るお金がもらえるのは嬉しい。リゼに不自由させなくて済むからな」

 レド様が珍しく浮かれた声音でそんなことを言うものだから、私はぎょっとしてしまった。

「私、別に不自由なんてしていませんよ!?そのお金は、レド様がご自分の力で手に入れられたものなんですから、ご自分のためにお使いになってください!」
「ああ、解っている」

 あれ、この顔は絶対解っていない…!『自分のために』とか言いつつ、私に使うつもりだ、絶対…!

「あー…、ところで、爵位を継承したら、通常は夜会などを開いてお披露目をするものなんだけれどね。リゼの場合は、三日後の夜会でお披露目をすればいいと思うんだよね」
「三日後に夜会ですか?」
「あれ、聞いていない?皇宮主催の新成人を祝うためのものなんだけど。…おかしいな、殿下も出席になっていたはずだよ」

 レド様を見上げると、レド様は首を横に振った。

「多分、二日後くらいに知らせが来るんだろう。いつもそうなんだ。夜会や式典の前日にしか知らされない。準備できなくて、みすぼらしい格好で出席させたいのだと思うが…。ロウェルダ公爵、知らせてくれて助かった。俺一人ならいいが、今回はリゼにまで恥をかかせるところだった」

「あの皇妃なら、やりそうな嫌がらせですね。…リゼ、この後の予定は?」
「レド様と一緒に、食糧や、レド様に必要なものを買い出しに行くつもりです」
「なら、殿下と二人でうちに寄るといい。知らせを出しておくから。殿下やリゼの夜会の正装について、ミレアとシェリアに相談しなさい。それに、ダンスのおさらいもしておいた方が良さそうだな」
「ありがとうございます、おじ様。本当に助かります」


 あ───そうだ、おじ様にお願いしたいことがあったんだった。

「おじ様、もう一つ、お願いしたいことがあるのですが────」

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