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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#5
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「待ってくれ、その前にこちらを済ませたい」

 話を進めようとしたおじ様を、レド様が止めた。レド様は、【遠隔(リモート・)管理(コントロール)】で、A4サイズくらいの革張りで豪奢な装飾が施された箱を取り出した。

「…今のは、魔術、ですか?」

 おじ様が驚いた様子で訊ねる。

「この力については、後で詳しく話させてもらう」

 そう言うということは、おじ様には話しても良いと、レド様は判断されたということだ。

 レド様には、ロウェルダ公爵家との関係を話してはあったが、こうしてレド様がおじ様を信用してくれたのは嬉しい。

「これを────リゼに下賜(かし)したい」

 レド様が箱を開くと、中にはビロードのような光沢のある深紅のクッションが敷かれ、その上に、幾つかの装身具と印章が並べられていた。

 すべて同じ意匠のようで、真ん中に一つだけ素材も大きさも違うものが置かれ、その周りにそれよりも小さめのものが幾つかと一つの印章が取り巻くように置かれている。

 何だか建国記念日の時のようだなと思いつつ覗き込むと、それは────

「これは、ファルリエムの“貴族章”ですね」

 おじ様が答えを呟く。

 “貴族章”とは───叙爵する際、皇王陛下より与えられる記章のことだ。掌サイズのメダルで、複雑な意匠が透かし彫りされており、そのメダルの意匠が、その貴族家の家紋となるのである。

 メダルは、採取されるのも希少なら、現在の技術では複雑な加工をすることが難しい“聖結晶(アダマンタイト)”で出来ており、偽造することはほぼ無理らしい。

 貴族章として渡されるこのメダルはすべて、古代魔術帝国の遺跡からまとめて発見されたもので、豪華で褒章に相応しく、偽造することが出来ないことに目を付けたレーウェンエルダ皇家が利用しているというわけだ。

「リゼに、“ファルリエム子爵”を継承させるということですね?」
「ファルリエム子爵…ですか?」

 てっきり、貴族家としてのファルリエム家はなくなったと思っていたので、私は首を傾げた。

「ファルリエム辺境伯家門は解体され、領地も没収されてしまったが、ファルリエムという家名自体は、子爵位に家格が降爵されたものの、残っているんだ。領地もない、名誉子爵だけどな。それでも、貴族ではあるし、少ないが国から年金も出る」

「ですが、レド様、私にそんな───」
「リゼ、これは辞退すべきではないよ。恩賞として、皇族が自分の親衛騎士に対して爵位を与えることは、仕来りと言っていい。ファミラ嬢も、ジェスレム皇子からベイラリオ侯爵家門の伯爵位を下賜される予定だ。
それに───リゼはSランカー冒険者ではあるが、それとは別に爵位はあった方がいい」
「おじ様…」

「ロウェ
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