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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#3
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きてよかったよ〜。これで、リゼと繋がっていられるっ」

 ネロが私の胸に飛び込んできたので、受け止めて、撫でてあげる。黒い毛並みが滑らかで気持ちがいい。

 視線を感じたので顔を上げると、レド様が私の胸にしがみつくネロを見ていた。レド様もネロを撫でたいのかな。

「レド様も撫でますか?」
「っ、いや、いい」

 レド様が慌てた様子で顔を逸らした。耳が赤い。猫を撫でたいと思ったことが、気恥ずかしいのだろうか。

「えーと…、それでは改めまして、レド様、この子は私の使い魔のネロです。
───ネロ、こちらはルガレド様。私のご主人様なの」

 私に抱っこされたまま、ネロは顔だけをレド様に向ける。

「リゼの主、ボクはネロだよ。その眼は、神眼?」

 “神眼”?────レド様の左眼が?

「…ああ、そうだ。───リゼ、この眼のことは後で話す」
「解りました」
「ネロ、俺はルガレドという。よろしく頼む」
「よろしく、ル、ルー…ド、ちがう、ルァ…ド」
「難しいなら、ルードでいい」
「わかった〜」

 精霊獣とはいえ、小さな猫に生真面目に話すレド様が可愛い。

「それでね、ネロにお願いがあるの。この手紙をおじ様に届けて欲しいの」
「いいよ。シューに届ければいいんだね。シューもこの囲いの中にいるから、すぐに届けられるよ」
「誰にも気づかれないようにね」
「まかせて!」

 手紙を口に咥えたネロが、現れた時と同様、どこへともなく消える。

「…リゼには本当に驚かせられる」
「そうですか?」

 そんなに驚かせることあったかな?


◇◇◇


 厨房を借りて、自前の茶葉でお茶を淹れ、お茶うけにこれまた自前のドライフルーツを皿に盛り、応接間に戻るとネロが帰って来ていた。

「リゼ、これ、シューからのお返事」
「ありがとう、ネロ…」
「あ、ごほうびの魔力、もういらないよ。今のボクはリゼと繋がっているから、魔力を少しずつ、ずっともらい続けているんだ」
「そうなの?」

「それより、リゼにお願いがあるんだけど。ボク、森に帰らないで、この家にずっといちゃダメ?」

 ネロが、その大きな目をキラキラさせて私を見上げ、首をちょこんと傾げて言う。…う、可愛い、可愛すぎる。

「レド様、ネロをこのお邸にいさせてもよろしいですか?」
「勿論だ。好きな場所で寛ぐといい」
「ありがとうございます、レド様」
「わーい。ありがとう、ルード!それじゃ、またなんかあったら、呼んでね」

 ネロはいつものように、するりと姿を消した。


 無邪気なネロを微笑ましく思いながら、おじ様からの返事を読む。

「宰相殿は何て?」
「明日の午前8時ころ、執務開始の前に執務室に来て欲しいとの
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