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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#3
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ないです」

「そんなことはない。傍にいてくれるだけで嬉しい」

 さらっとそんなことをレド様に言われて、頬が熱くなる。

「っと、とにかくですね、だから、食材を調達したいんですが。どういう手順を踏めばよろしいですか?」
「財務管理部という部署に、購入したい物を申請して、許可をもらって、費用を支払ってもらうという手順なんだが…」

 これは、本来なら、皇子自身がやることではなく、侍従や補佐官に任せる業務なのだ。執事がいたときは、ちゃんと執事が全部担っていたようだ。

 だけど、その執事が強引に解雇されてしまって、レド様が自分で申請するようになった。財務管理部の管理官の一人が、臨時で専任となっていて、レド様の代理という形でいつも申請をして、費用の受け取りもしてくれるそうなのだけれど────

 調べてもらった限りでは、この管理官────こいつが曲者なのだ。

 あまり仕事が出来る方ではなく、配属されて数年未だ出世も出来ず下っ端であるのに、金回りがすごく良くて、周囲からも訝しがられている。

 おそらく、レド様には許可が下りないと言って、渡された費用を着服しているのではないかと、私は考えている。

「多分、申請しても許可が下りない。食堂で食べるように言われるだけだ」
「解りました。それでは、私に任せていただけませんか?」

 この件については何とかしなければと思っていた。ちょうどいいので、さっさと解決してしまおう。

 私の言い出したことが意外だったのだろう。レド様は眼を見開いた。

「どうするんだ?」
「財務の筆頭責任者に、直接お願いするんです」

 私は悪戯っぽく笑って、答えた。


◇◇◇


「ネロ」

 一旦部屋に戻り、手紙を認めてから、いつものようにネロを呼んだ。
 今日はちょっと間があったが、程なくネロがどこからともなく現れる。

「これは…、精霊獣───か?」
「はい。ネロといいます」

 と、レド様にネロのことを紹介しようとした時だった────


使い魔(アガシオン)】を認識───発動条件クリア───【契約魔術(コントラクト)】を発動します…


 例の声が頭に響いて、私とネロの足元に一つの魔術式が広がった。


(マスター)】リゼラ───【使い魔(アガシオン)】ネロ───契約完了
魔力経路(マナ・パス)】を開通───完了


 魔術式が消え視界が戻ると、ネロの額に、蒼い魔水晶(マナ・クォーツ)みたいなものが埋め込まれていた。

「ええっと…、ネロ、私の使い魔になっちゃったみたいだけど…、大丈夫?」
「ボクはリゼに名前をもらった時から、リゼの使い魔だよ」
「え、そうなの?」
「うん。でも、ちゃんと契約で
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