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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第三章―ファルリエムを継ぐ者―#1
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たこと。
そして、私には前世の記憶があり、だからこそ────こうしてやってこれたこと。
私はレド様に、包み隠さず、すべてを話した。
「……………」
「レド様?」
「……イルノラド公爵家は───なくなっても構わないな?」
「は、え?」
「イルノラド公爵家など潰してしまおう。ああ───それがいい」
「え、あの、レド様?」
凍てついた眼をして、レド様が何だか危ないことを言い出した。
あ…、もしかして────レド様、私が受けた仕打ちに対して怒ってくれている?────私のために…?
そう思うと───私は胸がいっぱいになった。込み上げる感情そのままに、私は笑う。
「あの人たちのことは、もういいんです。もう───縁は断ち切りましたから。ですが…、ありがとうございます───レド様。私のために怒ってくださって────」
私の言葉に、レド様は我に返ったようだった。
「リゼは…、何故────俺の親衛騎士になってくれたんだ?なる義務はなかっただろう…?」
レド様は私にそう訊いたものの───私の答えを待たずに俯いた。私は、レド様に歩み寄って、長身のレド様の顔を覗き込むように見上げる。
「何ででしょうね…。何だか、放っておけない気がしたんです。私は虐げられていた状況から自由になることが出来たけど、貴方は───その身分ゆえにそれが出来ない。だから…、少しでも私が力になれたらって───」
レド様が泣く寸前のように、表情を崩した。
「それに…、私、ファルリエム辺境伯に命を助けられたことがあるんです」
「…爺様に?」
「ええ。あれは8年前───私が8歳の時、私は、お世話になっていた孤児院の子たちと、皇都から出てすぐの森で採取をしていて、魔獣に襲われたんです。本来、あの森には弱い魔物しかいないはずでした。一緒にいたのは私より年上のもう冒険者になっていた子たちだったんですけど、魔物ならともかく魔獣には敵わなくて────」
魔獣は、魔物なんかより獰猛で遥かに強い。魔物とは強い魔力を持つ獣のことで、魔獣とは大量の魔素に侵され凶暴化した魔物のことをいう。
魔物は生存本能によって人や獣を襲うが、魔獣はただひたすら周囲の生物を襲う。
「殺される寸前だったところを、ファルリエム辺境伯に助けていただいたんです。辺境伯は護衛を一人だけ伴って、急いでいるご様子でした」
8年前───ファルリエム辺境伯は、突如、辺境伯領に進軍してきた隣国ミアトリディニア帝国と交戦し、辛くも帝国軍を退けはしたものの、辺境伯軍は戦死者を大多数出し、その中には辺境伯自身も含まれていた。
タイミングから見て、帝国軍侵攻の報を受け、ファルリエム辺境伯領に急ぎ戻るところだったのではないかと思う。
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