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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二章―ルガレドの邸―#2
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豪奢な扉が設えられている。この二つの扉は、ダイニングルームへの入り口だそうだ。

 そして玄関扉から階段を向いている状態で、右側に小さな簡素な扉が一つ。これは、厨房や洗濯室、使用人の部屋などへ続く扉らしい。

 玄関扉の左側には二つ、これまた豪奢な扉がある。ダイニングルーム寄りの扉は、レストルーム。もう一つは、応接室にアクセスする扉のようだ。

「まずは、応接室から行くか」

 レド様はそう言い、扉を開けて入っていく。レド様に招き入れられて、私も中へと踏み込んだ。

 入って右側の壁には、造り付けらしい飾り棚が一面立ち並んでいる。
 ちょうど真ん中に半円形の飾り棚があり、その左右に、背の低い飾り棚と天井近くまである飾り棚が、シンメトリーに配置されている。

 ガラス戸に守られた棚には、革張りの本や、カップアンドソーサー、ドライフラワーに、子供用の靴などが、取り留めなく飾られている。どれも古びていて、価値のある骨董というよりは思い出の品といった(てい)だ。

 背の低い飾り棚の上には、楕円形や長方形の額に入った絵が幾つか吊り下げられていた。

 一ヵ所はどこかの山河(さんが)を描いた風景画などが集められ、もう一ヵ所は人物画が集められているようだ。母親らしきドレス姿の婦人と小さな女の子が並んでいるものや、夫人、女の子が単体のもの、様々だ。

 描かれている女の子は───レド様のお母様だろうか。

 そして、左側には飾り棚と同じ風合いの板で設えられた腰壁が一面に施されていて、上飾りのついたカーテンがかかった窓と角ばった柱が交互に並んでいる。

 それから、正面には、左側の窓と同じデザインのカーテンがかけられた両開きの大きな窓が二つ。

 部屋の中央にソファセットとローテーブルが置かれていて、正面の大きな窓の一つ、左寄りの窓の前にカフェテーブルと椅子が二脚置かれている。どちらも飾り棚と同じ装飾が施されていた。

 天井はすり鉢状と言うのだろうか、真ん中だけが窪んでいて、その中央には楕円形のガラスのようなものが嵌め込まれ、その周囲には可愛らしい小鳥とつる草が鏝絵(こてえ)で描かれている。

 楕円形のガラスが柔らかい光を放っているところを見ると───これが灯なのかな。

「ここは、母上の生まれ育った邸のリビングルームに似せたらしい。
爺様───故ファルリエム辺境伯が来た時は、よく母上と三人でここで過ごしたんだ」

 ここは“応接間”とはなっているが、セアラ側妃を訪ねてくるのは故ファルリエム辺境伯だけだったので、生家の邸を偲べるように、家族で過ごした生家のリビングルームを模したのだそうだ。

 そう語るレド様の眼差しは、懐かしむものであったけど────どこか愁いを感じさせた。

「…レド
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