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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二章―ルガレドの邸―#1
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 レド様は悔し気に、溜息を()いた。

「私の知人に大工を生業としている人がいるので、補修の仕方を教えてもらいましょう。二人で少しずつ綺麗にしていけばいいですよ」

 私がそう言うと、レド様は少し驚いた顔をして、それから微笑んだ。

 レド様は、こんな風に笑うんだ。笑うと目尻が下がり、雰囲気がとても柔らかくなって───何て言うか…、可愛い。

「ありがとう。────とにかく、中へ入ろうか」

 レド様に促されて、玄関ポーチに立った瞬間───また、あの声が響いた。


拠点(セーフティベース)】を認識───登録します───完了
最適化(オプティマイズ)】を開始します…


「「!?」」

 足元に魔術陣が瞬時に広がり、あの時のような光が迸る。そして、あの時よりも大量に魔力が流れ出ていく。あまりにも烈しい魔力の奔流と、大量の魔力が抜けていく感覚に、眩暈がした。


───────【最適化(オプティマイズ)】が完了しました
 

 光が消える。一気に大量の魔力を抜かれたせいか、身体がだるい。

「大丈夫か、リゼ」

 よろめいた私を、レド様が支えてくれる。

 レド様が覗き込むように顔を近づけたので、私は、そんな場合ではないのに、顔が熱くなるのを感じた。胸がドキドキと鳴っているような気がする。

「……ぁ、悪い」

 赤くなった私に気づいたのだろう。レド様が慌てて離れた。私は安堵したような───少し残念なような、何だか複雑な気持ちになる。

 ふと見ると、レド様の耳がほんのり赤くなっていた。レド様も照れているんだと思うと、ちょっとこそばゆくなる。

 私の視線から逃れるように顔を逸らしたレド様が、不意に目を見開いた。

「……邸が、綺麗になっている…?」

 私たちは弾かれたように、玄関ポーチから出て、再び邸を見上げる。

 窓枠も屋根も朽ちていた箇所は跡形もなく消えている。壁も洗い流したかのように元の色を取り戻していた。まるで、たった今建て終わったばかりの邸のようだ。

「これも、魔術なのか…?」
「おそらく…」

 古代魔術帝国の威力を思い知った気分だ。何故───こんな力を持ちながら、古代魔術帝国は滅びてしまったのだろう。

 古代魔術帝国の崩壊の理由は諸説あって、はっきりとは解っていない。

「…それより、かなり光ってましたよね。気づかれたでしょうか?」
「どうだろうな。庭園が目隠しになっていたと思いたいが…。まあ、考えても仕方がない。今度こそ中に入ろう」
「はい」

 そうして、二人で再び玄関ポーチに立った時だった。また足元に魔術陣がぱっと広がる。

 さっきとは違い、淡い光がゆらりと浮き上がってきて、光は私たちの
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