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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第一章―契約の儀―#3
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バー》に置き換わっているし、細長いガードが円形の(つば)へと変わってしまっている。

 そして───礼服。

 こちらもデザインはそのままで、素材は明らかに違っていた。見た感じ高級感は変わらないのに、物凄く軽いのだ。多分、丈夫さも増しているのではないかと思う。

 私の礼服はともかく、ルガレド殿下の礼服の方は、ボロボロだったのが嘘のように、新品同様になっているので、間近で見ればその変化は一目瞭然のはずだ。


 司祭が続けて儀式の終了を告げると、先程殿下たちを先導した侍従が司祭に替わって舞台に上がった。

「皆さま、お立合い、お疲れ様でございました。ホールに祝賀会の準備が整っております。そちらの方へ、どうぞお向かいください」

 侍従の言葉を皮切りに、皇王陛下から順に聖堂を出て行く。

 続々と観客が出て行くのを眺めていると、侍従がこちらへ寄って来た。

「ルガレド皇子殿下、リゼラ殿。お二人はお疲れでしょうから、祝賀会にご出席なさる必要はないとの仰せです。ですので、このままお帰りください」
「…了解した」

 ルガレド殿下が頷くと、侍従はさっさと離れて行った。

 イルノラド公爵の側近に、祝賀会には参加することになると聞いていたのだけれど。

 きっと祝賀会で私たちを更に貶めるつもりだっただろうから、それが出来ないなら参加して欲しくないのだろう。

 まあ、でも構わない。別にそんな催し出たくもないしね。



「……リゼラ」

 ルガレド殿下に遠慮がちに名を呼ばれ、物思いを中断する。

 ジェスレム皇子もイルノラド公女も、他の観客達も出て行ったようで、聖堂にはもう私たちしかいない。

「これから────よろしく頼む」

「こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします、ルガレド皇子殿下」

 真摯に言ってくださるルガレド殿下のお気持ちが嬉しくて、私は自然と笑みを浮かべながら言葉を返す。

「…レドでいい。俺のことはレドと呼んでくれ」
「では、レド様と呼ばせていただきます。私のことは、どうぞリゼと」
「…っ、解った。…リゼ───と呼ばせてもらう」

 そう応えたレド様はすごく嬉しそうで────こんなに喜んでくださると思っていなかった私は、何だか気恥ずかしくなってしまった。


「……色々と話さなければいけないことがあるな」

 レド様は、舞台中央にある魔術陣をちらりと見遣る。

 たしかに、先程のあの現象については、確認したいこと────把握しておきたいことが色々ある。

「とにかく、俺の邸に場を移そう」

 レド様の言葉に、私は頷いた。

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