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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第一章―契約の儀―#1
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 でも、私もちょっと不思議に思ってたんだよね。他の女性冒険者は、髪も肌も日焼けしちゃって結構ボロボロなのに。

 まあ、一つだけ心当たりがないわけでもない。

「多分…、魔力のせいだと思う」

「「魔力?」」
「うん。いつも魔力を体内に廻らせているからだと思うんだけれど…」


 この世界には“魔素”があるので、生物も魔力を持ち、それを使って超常現象を起こすことが出来る。

 でも、ラノベやゲームで出てくるような“魔術”を施すには、魔術の規模やどの方向に向かって放つのかとか、そういったコンセプトを緻密に組み込んだ“魔術陣”というものが必要となる。

 これが、まあ、組み上げるのにまず一苦労、それを書き上げるのにも一苦労。労力に見合わないし、何より咄嗟(とっさ)に使用できなければ意味がない。

 古代魔術帝国ではどうにかしていたらしいがその方法は伝わっておらず、人類にとって、これは古代魔術帝国崩壊から数百年にわたって課題だった。

 そして───このレーウェンエルダ皇国の前身であるエルダニア王国の時代に、研究に研究を重ねた結果、“魔石”に魔術陣を書き込む技術が開発された。

 これはかなり難しい技術のようで───“魔力が均等に凝固している魔石”でないと書き込むことは不可能らしい。そもそも、この“魔力が均等に凝固している魔石”自体が希少なもので、数が揃えられない。

 そうなると作製できる数に限りができてしまい、魔術陣を書き込んだ魔石は、必然的に高値となる。

 魔術陣がなくても、魔力を水や炎、風などに変えたり、魔力で土を動かすことはできる──これを“魔法”と呼ぶ──が、戦闘に利用するのは相当難しい。魔力を水や炎に変えた後、その水や炎を操作することはできないからだ。

 だけど、魔術陣は高価過ぎて手が届かず、私は魔術を諦めて、魔法を利用する方法を模索する方にシフトした。

 初めは魔力操作の訓練のために魔力を体内に廻らせるようにしていたのだが───ある時、魔力を廻らせていると身体能力が強化されることに気づいて、それ以来、なるべく廻らせるようにしているのだ。

 おそらく、魔力によって、日焼けや乾燥から守られているんじゃないかな、と思う。


「わたしにはできない芸当だわ…」
「わたくしもよ」

 ラナ姉さんだけでなく、シェリアまでもが、がっくりと項垂(うなだ)れた。

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