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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第一章―契約の儀―#1
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私が今持っているものよりも一回りほど小さく、かなり質が高い。
蓋には、交差している双剣と円を描くように広げられた翼が彫り込まれている。これは、Sランカーだけが持つことが出来る、私の冒険者としての個章だ。
あとの二つ───円形のピンブローチと楕円形のバレッタは、同じ意匠らしく、細かい透かし模様になっている。
よく見ると、ここにも私の個章が組み込まれていた。
「正直、リゼに懐中時計を贈るのは迷ったけれど、公の場で使用するに相応しいものが必要だと思ったのよ。それに、リゼはドレスより礼服を着る機会の方が多いでしょうから、タイにつけられるピンブローチにしてみたの」
「どれもとても素敵だけど───お祝いって…、こんなにお世話になっているのに───」
「リゼだって、わたくしのときお祝いくれたじゃない。これは、わたくしたちの気持ちなのだから、黙って受け取ってちょうだい」
「……、うん。どうもありがとう」
私が、シェリアの成人を喜ばしく感じて───祝いたくて、贈り物を用意したように、シェリアたちも私の成人を祝いたいと思ってくれたのだろうか。
私が成人することを、喜ばしく思ってくれている人がいる。本当に───私は幸せ者だ。
早速、ピンブローチを手に取って、アスコットタイの中央につける。
それから、懐中時計を手に取り蓋を開けてみた。蓋の裏側にはコインを嵌め込めるように細工されていた。
これまで使っていた懐中時計を取り出して、冒険者ライセンスであるコインを抜き取り、移し替える。
そして、ベスト部分のボタンホールに鎖の先端を引っかけると、コートの内ポケットへとしまう。
ついでに、マジックバッグもしまった。
ベストは脇のラインで縫い留められているので、ちゃんと内ポケットが使えるようになっていた。しかも、分けてしまうことができるようにポケットが追加されている。
さすが───ラナ姉さんだ。
「カエラ、リゼの髪を結い上げてちょうだい。…そうね、上部を細かく編み込んでハーフアップにするのがいいかしら」
「かしこまりました。…リゼラ様、こちらへ」
カエラさんに促され、ドレッサーのスツールに座る。カエラさんは私の髪を手に取り、器用に編み込んでいく。
その様子を見ながら、ラナ姉さんがふと呟いた。
「前から思ってたけど、リゼの髪って綺麗よね。どうやって手入れしてるの?」
「え?何にもしてないよ」
「嘘でしょ?そんな艶々でサラサラなのに!?…っじゃあ、そのお肌も!?」
「え、うん。何もしてない」
「何もしてなくて、何でそんなに肌綺麗なのよ!?真っ白で、艶々で、プルプルじゃない!」
そんなこと言われても、本当に何もしていないんだけど。
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