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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#3
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「それに───『次期皇王の親衛騎士』だと?『夢みたい』?あいつらは、一体何を言っているんだ?」

 皇妃の浅慮な振る舞いのせいで、この国が今どんなに大変なのか───平民ですら解っている。

 それなのにあの二人は、皇妃がただの権力者で、ファミラの実力が認められて取り立ててもらったと考えているようだった。


 半月前───ファミラにジェスレム皇子の親衛騎士の件を打診した時、ダズロもセロムもファミラが事の重大さを当然理解しているものと思っていた。

『ジェスレム殿下は、ジェミナ皇妃の実子だ。大変な任務になるが───出来るな?』

 ダズロがそう訊くと、ファミラは神妙に頷いた。

『はい。任せてください。必ずやり遂げてみせます』

 ファミラのこの返事に、セロムでさえも、ダズロの意図は伝わったものと思い込んでしまったのだが────それをあのように解釈していたとは、思いもしなかった。

「大体、手柄を立てるどころか、実戦を経験したこともないのに、いつ実力を認められたというんだ?」

 驚いたことに、ファミラは実戦は未経験とのことだった。

 レミラはファミラを可愛がるあまり、実戦に出ることを許さなかったという。獣一匹とすら、対峙したことがないのだ。

「はは…、私は本当に馬鹿だ。あの子の言う通りだった…。せめて一度だけでも───ちゃんとレミラや子供たちと接していれば───」

 ダズロはそこで言葉を切り、弱々しく顔を両手で覆った。

「ダズロ…」

 セロムは、思わず立場を忘れて親友の名を呼んだが、かける言葉は見つからなかった。


 しばらくして、ダズロが顔を上げ、鈍い動作で立ち上がった。

「……こうしてはいられない。ウォレムに相談しなければ────」

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