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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#3
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ね?」
シェリアも、ラナ姉さんも、おじ様も───みんな本当に優しい。
実の両親や兄姉には恵まれなかったけど、こうして心を砕いてくれる人がいて───私は幸せ者だ。
私は溢れる気持ちのまま、微笑んだ。自然とお礼が口から零れる。
「ありがとうございます、おじ様」
※※※
「私は…、この10年───いや、レミラに引き合わされた時からか…、一体何を見ていたんだろうな…」
ダズロ=アン・イルノラドが、執務室に戻るなり椅子に深く座り込み、疲れた表情で自嘲気味に呟いた。
まだ一部のみのものだが調査結果は───予想以上に最悪だった。
この10年のリゼラへの虐待ともいうべき対応は勿論、貴族間での『傲慢で我が儘』というリゼラの評判も、レミラとファミラが積極的に流したものだと判明した。
ダズロもセロムも、リゼラの態度や行いから、自然に噂されるようになったのだとずっと思っていたが、考えてみればそれはありえないことだ。
リゼラは、社交の場には一度も出たことがないのだから。
特にファミラは、口ではリゼラの傲慢さを心配しながら、嬉々として悪評をばらまいていたそうだ。
そんなことをしながら、ファミラ自身、相手の身分が伯爵家以下だと横柄な態度で接していたようで───下級貴族の間では、『妹が傲慢で我が儘なのも、ファミラと血が繋がっているなら頷ける』と、姉妹諸共の悪評が出回っているとのことだった。
そして、先程、この調査結果を手にセロムを伴い、レミラと話をするために赴いたのだが────
『…うふふ。4日後には皇子様の親衛騎士になれるなんて、夢みたい』
『あら、貴女の実力なら、当然のことよ。本当に誇らしいわ。貴女を生んだことは、わたくしの誉れよ』
そこにはファミラがいた。二人は、ダズロとセロムが扉の前にいることに気づかず、話し続ける。
『あの出来損ないが足を引っ張らないといいけど』
『大丈夫よ、アレはもう籍を外されて平民に落とされたのだから。貴女がアレに煩わされることは、もうないわ』
『やっといなくなって、清々したわ。お茶会や夜会でアレのことを訊かれる度、嫌な思いをしたもの』
『…アレを生んだことは、わたくしにとって汚点だったわ。アレに比べ、貴女は優秀だもの。次期皇王の親衛騎士よ。きっと歴史に名を残す騎士となるでしょうね』
二人の会話に、愕然とした。結局、あの二人と向き合う気力はなく、静かにそこを離れた。
「ファミラがいつ、リゼラに
煩
(
わずら
)
わされたというのだろうな。ほとんど会っていないのに」
リゼラは、城下街では有名だったのですぐに調べがついた。幼い頃から毎日街に下りて、食い
扶持
(
ぶち
)
を稼いでいたというのは事実だった
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