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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#3
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「いや、ルガレド皇子殿下が今回で成人されることは知っていた。まあ、かなり急に決まったのだけれどね。だけど、ジェスレム皇子もルガレド皇子殿下も、別の者が親衛騎士となると聞いていたんだよ。
確か───ジェスレム皇子の方はベイラリオ侯爵家門の伯爵令息で、ルガレド皇子殿下の方はジェスレム皇子と(いさか)いを起こした子爵令息だったはずだ」

「変更について、おじ様の方へ連絡は?」
「帰宅直前に連絡が来たよ。一応、リゼの返事待ちだったのかな。そうすると───変更を画策したのはイルノラド公爵率いる一派だね」

 各騎士団の上層部連中というわけか。

「ルガレド皇子殿下の最初の候補者は、実力があって将来を嘱望されている騎士だからね。彼らとしては、ルガレド皇子殿下の親衛騎士になどさせたくなかったんだろう。
それに、ジェスレム皇子の親衛騎士も、ベイラリオ侯爵の息のかかった者にしたくなかったんだろうな」

「なるほど。イルノラド公爵公女はジェスレム皇子の抑止にして、傲慢で我が儘な妹の方は───除籍すればルガレド殿下と共に将来を潰されても良いと考えたわけですね」
「そうだろうね。ファミラ嬢が抑止になるとは思えないけどねぇ。きっと面倒なことになるよ」

 今、イルノラド公爵が堕ちちゃったら困るんだけどなぁ────とおじ様はぼやいた。

「…ああ、そうだ。忘れないうちに、除籍届を預かるよ。私の方で受理しておくから」
「お願いします」

 例のナイロンみたいな素材の袋から除籍届を取り出して、おじ様に手渡す。

 この袋の中は、“異次元収納”になっている。そう、よくラノベやマンガで出てくる、“マジックバッグ”というやつである。

 ただ、大きさは3uほどしかない。時間も止まらないので、ラノベなどで出てくるもののように万能ではないけれど。

 それでも、荷物が嵩張(かさば)らないというだけで、あると便利だ。

 B4サイズのそこまで大きくはない袋だけど、布地が驚くほど伸びて、口が大きく開くので結構大きめの物も入れることが出来るしね。

 これは古代魔術帝国の遺産で、現在の技術では造ることは難しいらしい。袋の素材すら不明とのこと。

 大変貴重なものであるのだが、数十年前に遺跡から大量に発掘されために、所有に制限はあるがこうして出回ってはいる。

 もちろん、私はSランカー冒険者という立場ゆえ手に入れることが出来た。


 袋を畳んで内ポケットにしまっていると───おじ様が、ふっと真剣な表情になった。

「…リゼ。ロウェルダ公爵家としては、今の段階では表立って後ろ盾になることは出来ないけれど、宰相として、それに私個人として───できるだけ力になりたいと思っている。だから、何かあったら遠慮せずに頼るんだよ。…いい
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