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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#2
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のときは、本当にひもじかった。清潔な水も手に入らなくて、洗濯場に忍び込んで浄化されていない水を飲んで、お腹を壊したり…。
体を洗うこともできず、替えの服も下着も無くて─────
「もう…、本当にどうしようもなくなって、私は使用人が出入りする裏口からこっそり街へと下りました。
ボロボロの状態で歩き回っていたら、親切な人が孤児院に連れて行ってくれたんです。そこでしばらくお世話になっていました。
もう邸には戻りたくないと思っていたけれど、孤児院は満員状態で、仕方なく寝るだけのために夕方に邸に戻っていました。
幼いうちは、孤児院で子守りや洗濯、掃除を手伝って食糧を分けてもらっていました。
そして────冒険者ギルドに登録できる年になると、すぐに冒険者になったんです」
「……何故、私に訴えなかった」
公爵が、ぽつりと呟くように言う。
10年間この状態がおかしいとも思わなかったくせに、恨みがましく言わないで欲しいのだけど。
「先程も言った通り、私は全て貴方の指示だと思っていました。
まあ───訴えようとしたところで、どうせ取り次いではもらえなかったでしょうけれど」
さて、もういいよね。やることもやれたし、さっさと出て行こう。
ああ───でも一つだけ確認しておかなきゃ。
「それで、ルガレド殿下の親衛騎士の件ですが───建国記念日に皇城へと向かえば良いのですか?」
公爵は呆然自失していて反応がなかったが、側近の男が驚いたように目を見開いた。
「ルガレド殿下の親衛騎士を引き受けるのですか?」
まあ、そう思うよね。正直、引き受ける義理はない。私が引き受けず、イルノラド公爵家が困ろうと知ったことではないもの。
「別にイルノラド公爵家のために引き受けるわけではないですよ。
ただ────ルガレド殿下の置かれている状況が他人事のようには思えないので。私なら…、力になれるかもしれないから───」
それに───実は故ファルリエム辺境伯には、恩がある。殺されそうになったところを助けてもらったことがあるのだ。
辺境伯に恩を返すことはできなかったけれど、ルガレド殿下は辺境伯の実の孫だ。少しでも殿下のお力になれるのであれば、辺境伯も喜んでくれるのではないだろうか。
まあ、こんなことにならなければ、きっとそんなこと考えもしなかったとは思うけれど───これも、縁というものなのだろう。
「リゼラ様はイルノラド公爵家から籍を外れて、平民となりましたので、単独で皇城へ入ることは不可能です。当日、公爵家の馬車でご一緒に入城していただくことになります」
「そうですか…。こちらへは何時に来れば?」
「午前9時までに来ていただけると」
「わかりました」
側近の男と話
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