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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#1
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丸めて紐で(くく)り、袋へと入れる。

「はぁ、やっと解放された」

 思わず本音が漏れてしまったが、気にしない。もう自由なのだから。

 ちらりと公爵を見遣ると、側近共々、呆然としている。私は追い打ちをかけるべく、また(ふところ)へと手を伸ばした。

 今度は、もう一つの内ポケットから、懐中時計を取り出す。蓋を開けると、蓋の内側部分に収めてある“魔水晶(マナ・クォーツ)”を加工して造られたコインを抜く。

「さて、これでイルノラド公爵家と私の縁は切れました。私は平民となりましたが、Sランカー冒険者でもあります。身分を理由に私に何かを強制しようとしても無駄ですので、覚えておいてください」

 Sランカーの証である魔水晶(マナ・クォーツ)のコインを公爵に見せつけながら、宣言する。


 “冒険者”とは、ファンタジー系のラノベやゲームでお馴染みのアレである。仕事内容や立ち位置、冒険者の組合である“冒険者ギルド”も、本当にお馴染みそのまんまだ。

 でも、一つだけ違うところがある。それは、“冒険者ライセンス”だ。ラノベなどでは“カード”だったが、この世界ではコインなのだ。

 しかも、持ち主の魔力を通すと、他人が使用することは出来なくなるという優れモノだ。


 それから、ランクシステム。これも大体同じ。

 Fランクから始め、依頼の達成度など定められた条件をクリアすると、ランクが上がる。

 Bランクまでは真面目に熟していれば順当に上がれるが、Aランクに上がるには一線を画した実力が必要となる。

 そしてSランク───最上位ランクとなるのだが、これがさらに狭き門となっている。

 Aランクに辿り着ける実力に加え、世間に影響力を持つ人物──大商人や王侯貴族など──からの推薦が必要となる。それも一人ではなく、複数人。

 大陸最大の巨大組織である冒険者ギルドと、複数の大人物による後ろ盾を持つSランカーは、当然、一国の一貴族程度では太刀打ち出来ない。

 だから、私は必死の思いでSランクを目指した。このイルノラド公爵家と縁を切るために。

 万が一、利用されそうになっても────その汚い手を撥ねのけられるように。

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