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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
序章―除籍と絶縁―#1
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 私が、我が儘で────勉強も武術の修行もしなかった?

 腰に提げたこの使い込んだ双剣が目に入らないのだろうか。もしかして、見栄で提げているとでも思ってるとか?

 大体、武術を修めた身なら、相手の足運びや体つきで、武術を(たしな)むかどうか判るだろうに。

「それと、お前はイルノラド公爵家から籍を外した。イルノラド公爵家の威光に頼れると思うな。公爵家の名を使って何かすることは出来ないし、お前が何かやらかしても、公爵家は一切尻拭いをすることはないと心しておけ」

「!!」

 籍を外した────私はもうイルノラド公爵の息女ではない?
 この公爵家と縁が切れたってこと?

 こちらから持ち掛ける前に外してもらえるとは。しかも────もう手続き済み!

 顔が緩みそうになる。でも駄目───まだ喜色を顔に出してはいけない。

 私はジャケットの内ポケットから、折り畳んだ“ナイロン”に似た素材の袋を取り出した。袋を広げ、中に手を入れて、丸めて紐で括ってある書類を2通取り出す。

「!…その鞄は、まさか」

 公爵と公爵の後ろに控える側近が、何やら呟いているが無視した。

「では、こちらにサインをいただけますか?」
「一体何を…、……これは絶縁状?…こっちは除籍届?」
「もう籍は外されたとのことですが、念のため私からも除籍届を出しておきますので。さあ、サインをお願いします」

「…一体何を企んでいる?」
「公爵閣下にとって、喜ばしいことだと思いますが。…早くしていただけませんか?」

 公爵が後ろの側近に書類を渡し、読ませる。

「別段、おかしな個所はございませんが…」

 そう側近が断言して、やっと公爵がデスクの端に立ててあったペンを手に取った。ペンの脇に置いてあるインク壷にペン先を浸して、2通の書類に立て続けにペンを走らせる。

「ほら、これで満足か」

 何だろう───この態度。
 ただのパフォーマンスだとでも思っているんだろうか。

 まあ、いいや。除籍届の方は元のように丸めて紐で留めて、また袋へとしまう。絶縁状の方は手に取って、“魔力”を流した。

 嬉しいことに、この世界には“魔素”というものがあって、生き物は多かれ少なかれ魔力を持ち、“魔法”や“魔術”を扱える。

 この絶縁状は、紙自体に“契約魔術”が施されていて、魔力を流せば契約魔術が発動し、書面に書かれた誓文の内容を、強制的に守らせることが出来るのだ。


 絶縁状から発せられた魔術による光が、公爵と私を一瞬包んで、身体に吸い込まれるようにして消える。成功したみたいだ。

 これで、お互いではあるが、強引に干渉することは出来ない。

 私は安堵の溜息を()き、発動済みの絶縁状を
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