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ある程度の資質
第二章

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「相談にも乗らなくて」
「何もしないでな」
「上から目線で言って感謝もしないで」
「奥さんは働かないことは平気でもな」
「そんな性格だから」
「遂に離婚された」
 そうなったというのだ。
「いい加減嫌になってな」
「そうだったわね」
「そしてそれからな」
「ご実家がうちの檀家さんだから」
「宗派の総本山で修行してもらってだ」
「心根をあらためてやり直す」
「そうしてもらおうと思ったら」
 それがというのだ。
「かえってね」
「宗派の悪口ばかり言う様になったからな」
「本当にあんな人はじめてよ」
「普通はな」 
 示現は苦り切った顔のまま言った。
「あそこでな」
「よくなってくれるわね」
「そうだがな」
 だがそれがと続けた。
「ああしてだ」
「変なこと言う様になったわね」
「しかもふんぞり返ってな」
「偉そうに」
「そして別れた奥さんはずっと何かとしてくれたんだが」
 そうであったがというのだ。
「感謝もしなかった」
「爪切りまで持って行った、だったわね」
「わしはあの時呆れ果てた」
 心から言った。
「爪切りまでお世話になっていても感謝しない」
「爪切りまで言う器の小ささにもね」
「そんなものまで自分のものでない甲斐性なしにな」
「それを人前で言う無神経さね」
「それでどう思われるかわからない恥知らずにな」
「そんなことまで言う恨みがましさに」
「実はあの時にだ」 
 僧衣の中で腕を組んで言った。
「もうこれは駄目かとな」
「思ったのね」
「そうだった、今も働いていないな」
「ずっとよ」
「それで自分のものはいいものばかりだな、服もな」
 着ているそれもというのだ。
「そうでな」
「あの人煙草吸うけれど」
 菊枝はこちらの話をした。
「聞いたこともない様なのよ」
「いい煙草か」
「それを吸ってるのよ」
「そしてそのお金はだな」
「ご実家に毎月行ってよ」
「親御さんから貰ってだな」
 そうしてというのだ。
「得ているな」
「大事にしてくれた叔母さんにお財布落としたって言って」
「借りてもいるな」
「当然返さなくてね、ご実家も」
 そちらもというのだ。
「長男さんなのにご両親の面倒見ないで」
「勝手に暮らしているな」
「それでお金が必要なら」 
 その時はというと。
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