8.転生者の逆夢。
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し訳ないです。
……それだけでなくやらかしてきたのですから。
昨年十一月七日、私は爆弾事件で大怪我を負いました。負いはしたけれども。
あれ以来、毎月七日は調子が悪い──というより……。
眠れば夢を見てしまうのです。
──あの爆発で萩原さんが亡くなる場面を。
何の因果かは分かりません。単に私の恐れが招いているだけのモノかもしれない。この世界では萩原さんは生きている。それなのに怖がってしまう私の弱さが招いているだけなのかもしれない。
けれど、過去や未来を改変することを悪とする物語では、『運命』のようなものが、死を回避した人をその後も執拗に殺そうとするようなものが少なくありません。
これはそれを暗示しているのだろうか。
──……怖すぎます。絶対にそうなってほしくありません。
だから不吉すぎる夢なんて見たくない。
それなのに、眠い。
「……眠れ、汀」
気づいたら、私は多分、ソファに移動させてもらってた。
そして、降谷さんの手のひらが、目を塞いでいるようでした。
「……嫌です」
寝たくないんです。──見たくないんです。
粉々になるのなんて、あの明るくて優しいかたが面影もなくなるなんて、耐えられない。
「……あれ以来七日は様子がおかしい。調べれば……君のご両親が事故で亡くなったのは六年前の十月七日らしいな。……重なるのか?」
わざわざ、調べて下さったんですか……。
「違う、と、思います……」
……本当の事を、伝えたくない。
伝えたら、色々、とめられる……気がする……。
「……うなされるようなら起こしてやる。手も握っていてやる。だから、眠れ」
「……お忙しいでしょう」
「君の手を握ったままでもできる仕事はたくさんあるんだ」
「……」
できれば夢自体を見たくないのですが。
『体調を整え、常に最悪のケースを想定するのは、我々の最低限の仕事だろう』
睡眠と食事をさぼっていた右腕さんが降谷さんに怒られていましたね。今の時期彼はもう降谷さんのそばにいらっしゃるのかな。
そんなことを思いながら、結局うとうとしてしまって──。
『……なにっ』
タイマーが動き出したことに気づいた萩原さんが焦る。
『皆、逃げろ!!!』
周りに居た機動隊の方々は彼の声で走り出して階段へ向かう。
今世で目にしたとおりに彼らは間に合います。萩原さんが頼んでいた通りに人数が減らされていたから、階段でドミノ倒しになることもありません。
やはり機動隊のかたがたなら6秒もあれば50m近くを走り切ることができるのでしょう。今多少モヤシを脱した私でさえ50mの最高記録は七秒二なくらいですから。
け
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