8.転生者の逆夢。
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
ない場合だけ主体的に動くことができる。まあ普通は警察到着までの現場保全で終わるんだけど、あの名探偵君たちの場合は何故か交通が麻痺したりしてそうはいかないことでしょう。
第一種探偵になったところで爆弾解体等々したければ個人で別の資格を取得する必要があって、もちろん拳銃所持なんてできない。普通に警察官になったほうが早いまである。
それでも第一種探偵になる人が結構いるのは、ひとえにこの世界の犯罪率が高すぎる点に理由がある。しかも知能犯だらけっていう。
警察よりも身軽でありたい者、この世情の中根強く流行るミステリの探偵に憧れる者、その他事情のある者、等の手を借りる必要が大いにあるのがこの世界だ。
「だから刑事のフリをしてる時に本当に捜査に加わらなければいけなくなっても問題はない。捜査情報を知る必要がある時にも堂々と潜り込める。6係で君の所属する班の班長もこれを受け入れてる人間だ。蜂郷繁。覚えておけ」
「は、はい……!」
目を回す私にその人物の名刺と写真が渡される。写真は警察手帳のものっぽい。
キリっとした強面の男性でした。伊達さんともまた違う力強さを感じる。警察手帳の写真っぽいですね。
記憶力だけはいいので、覚えておけっていうご指示は守れる気がします。
「警察の中にも公安の協力者がいるっ、て感じですか……公安って何だか次元が違いそうですね」
くらくらする。
けれど降谷さんは不敵に笑った。
「君はその公安の協力者だぞ。我々は能力があるならその全てを利用する」
『能力がある』なんて。
「過大評価ではないですか」
「そう思うなら、自分で確信できるくらい実力を身につけろ。それが君の仕事だ」
「……! 肝に銘じます」
ここまでしていただいているのだから。
私も、大好きな人々がいるこの国が愛おしいのだから。
降谷さんはまた不敵に笑いました。
「様々な身分証があるからこそ、状況を見極めろ。選択を誤れば道が狭まる。それは君自身が磨かなければいけない『眼』だ」
「承知しました」
別の身分を使っているところを、その他の身分で接した人間に見られるとかも非常にマズイだろうし……慎重に頑張ろう。
「……君はもう少し自分に自信を持て。でなければ怪しまれる」
降谷さんが真剣な様子で表情を歪めていた。
私は似たような表情になった、と思う。
「肝に、銘じます……!」
再びそう言う、くらいしか、できない。
本当に、つまらない自己卑下なんてしてる場合じゃありません。
性分というのはすぐには治らないかもしれませんが、重ね重ね気を付けてまいります。
降谷さんがふっと笑った。
「そこは敬礼でもしておけ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ