7.降谷さんの朋友。
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もぐもぐとリンゴを咀嚼する。
実は大好物です。一番好きなお酒も林檎がフレーバーのものです。林檎フレーバーであればなんでも好きまであります。
だけど、そんな大好きなリンゴではあっても、更に四対の目がある中降谷さんに食べさせてもらってるとなると、なかなか嫌です。
でも美味しいのでされるがままです。食欲には抗えません。
……食欲。……人間の、欲求……。
くっ、と誰かが噴き出している。
松田さんだ。
「……よく聞く例えだが、本当に親鳥と雛みてぇだな。よく聞くだけある」
「ふふ、カワイイよね」
「ほかに食べたいものある? 売店あったよね?」
「まだ胃がびっくりするんじゃないか?」
ふふふ。
雛鳥やってるのは居心地が悪いですが、こうしてわいわいしてる皆さんを直に目に出来るのはしあわせなことです。
まあ、その、しあわせとはいえ居心地悪いのに雛鳥してなきゃいけないのは、その……今両手が使えないんですよハハハ。
《 防御 》を使う時は両腕をぴんと横に張ることになる。そういう体勢で自分の周りに球形のバリアを生成する。
その状態で萩原さんと爆弾との間に立って効果時間いっぱいの5秒立ってたっぽいのはいいんだけど、ダメージカット盛り盛りだったとはいえ姿勢が無防備すぎたみたいだ。
腕は身体の中でも細い部位だからなのか、骨折箇所が特に多い。とても動かせない。
……はい。『特に』多いと言っただけあってあちこち骨折しているそうです。爆弾怖いですね。
それでも命があることにすごく感謝している。欠損もないし、後遺症の恐れもどこにもないみたいだし。
色々あとが残りそうな傷はあるみたいだけど、そんなの些細なことだ。
……退院、いつできるのかな。
もぐもぐ。もぐもぐ。
お皿に置いてあった2個を完食しました。ミッションコンプリート。雛鳥を解放してください。
しかし降谷さんは更に青リンゴを持ち出して、「これも食うか?」と言うようにほんの少しだけ首をかしげてみせるのだ。あざといです。誰がつっぱねられましょうか。
ましてや青リンゴは更なる大好物です。
ウッ、さては降谷さん確信犯ですね。好物+ハニーフェイスの攻撃力高すぎ。
「ありがとうございます」
私はへにゃっと苦笑するしかない。
ふっと小さく笑うだけで答えて降谷さんは青リンゴをむき始めた。
少しだけ、そのしゃりしゃりという音だけが続く。
なんだかそわそわして、私は口を開いた。
多分、本来ならまだ面会謝絶とかなんだろう。それなのに皆さん集まっているのには理由があるはずだ。
「……あの、ここは、色々と話しても大丈夫な場所ですか?」
「ああ。警察病院だし、人払
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