第一章
[2]次話
五十一番目の州
四角い太った顔に眼鏡をかけている。
加嶋精孝は大学を出てジャーナリストになっている、かつては大手の報道機関に所属していたが今はフリーである。
思想や発言は保守に属している、だが。
とある保守系の論者である小林英夫、白髪を真ん中で分け細長い顔に端正な顔を持つ長身痩躯の彼は若い学者の三森洋二すっきりした顔立ちで黒髪を長くしている痩せた中背でスーツが似合う彼に対して言った。
「あれは似非もいいところだよ」
「加嶋さんは」
「そう、何も学ばなくてね」
大学の研究室の中で共にコーヒーを飲みつつ話した。
「努力もしない、しかも偏見が服を着て歩いている」
「そういえば」
三森も言われて気付いた。
「あの人は」
「偏見が強いね」
「日本至上主義で」
「ああ、日本至上主義でもないよ」
小林は三森のその言葉を否定した。
「全くね」
「そうですか」
「やりたい放題が好きなんだよ」
「やりたい放題ですか」
「差別をしてね」
そうしてというのだ。
「日本人、自分が好きなね」
「考えが違うと攻撃していますね」
「そう、日本人でもね」
「差別していますね」
「その差別、偏見とね」
それと、というのだ。
「排外主義、やりたい放題がね」
「大好きですか」
「差別をしたい、自分が傷付かずに攻撃をしたくて」
「自分とは違う考えや生まれの人をですね」
「排除したいんだよ」
「偏見の塊ですね」
「そしてそれを理論武装してくれる本や雑誌ばかりをだよ」
実に忌々し気に語った。
「読んでいるだけだよ」
「本当にいいものは読んでいませんか」
「僕達は文学者だから」
それでというのだ。
「純文学も読んでいるね」
「そして研究しています」
三森も答えた。
「そうしています」
「彼等は純文学もだよ」
「読んでいませんか」
「そうした本や雑誌を読み耽ってね」
そうであってというのだ。
「全くだよ」
「純文学を読んでいませんか」
「彼も含めてね」
「トップクラスの私大出ていますが」
「学歴で決まるか」
小林は三森に問うた。
「果たして」
「いえ、東大出てもです」
「愚か者は愚か者だね」
「どんな大学を出ても」
「東大法学部首席で弁護士になって政治家になってもね」
とある人物を例えに出した。
「こう言うと君ならわかるな」
「あの女性党首ですね」
「あんなもので。吉本隆明も東京工業大学を出ているんだ」
「オウムの麻原を絶賛していた」
「あんな愚か者でもだよ」
「いい大学出ていますね」
「大学で決まらないよ」
その者のレベルはというのだ。
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