激闘編
第九十七話 矜持
[1/10]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
宇宙?796年5月15日18:00
ジャムジード宙域、ジャムジード星系、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、
第十三艦隊旗艦トリグラフ、
ダスティ・アッテンボロー
まもなく捕虜を乗せた輸送戦隊とトリューニヒト国防委員長御一行を乗せた第一艦隊…ヤン先輩がやってくる。そのまま先輩がトリューニヒトをフェザーンまで護衛するのかと思いきや、会合後は俺の艦隊が任務を引き継ぐ事になっていた。ウィンチェスターの差し金だ。『アムリッツァ防衛の任務ご苦労様でした。フェザーン回廊突入への一番槍の名誉はアッテンボロー先輩に差し上げましょう。保養も兼ねてフェザーン旅行をお楽しみ下さい』
何が一番槍の名誉だ…トリューニヒトをこの艦に乗せると思うとゾッとするぜ…。
「そろそろ気を引き締めた方が宜しいのではないですかな?司令官閣下」
そう嫌みったらしくあげつらうのは、ローゼンリッター連隊長のシェーンコップ大佐だった。
ローゼンリッター連隊は旅団に格上げされ、旅団長としてヴァーンシャッフェ准将が指揮を執っている。連隊長は目の前のシェーンコップ大佐、増強装甲大隊の大隊長はリンツ中佐…アムリッツァ防衛の為に旅団ごとアムリッツァに派遣されていたものの、ヴァーンシャッフェ旅団長とシェーンコップはウマが合わないのだろう、旅団本部とリンツ大隊はカイタルでは無くチャンディーガル、連隊はまるごとウチの艦隊に乗せられている。ウチに居ても惑星降下戦をやる訳でもないから、連隊員の一部は例の擬装商船団の船長として乗船している。現地雇用の軍属も勿論存在するが、彼等を商船の船長にしてしまうと、帝国に拿捕された時に何を口走るか分からないからだ。新領土の現地市民…元帝国人達は同盟の統治には概ね慣れてきているが、まだ油断は出来ない。フェザーン行きの任務が与えられた事によって擬装商船の任務は一旦停止しているものの、商船引き揚げの時は帝国艦隊と戦闘になったり色々と大変だった…。
「暇そうだな、大佐。そもそも貴官の艦はこの艦じゃないだろう?」
そうなのだ、そもそもローゼンリッター連隊には専用の強襲揚陸艦イストリアが充てられているのだ。
「あっちはブルームハルト大尉に任せていますよ。私が居ない方があいつ等も気が楽でしょう」
「ブルームハルト大尉…大尉に艦を任せているのか?」
「今年の定期昇進で少佐です。大丈夫ですよ」
「そういう事じゃないんだが…」
返事に困っていると、参謀長ラオ大佐が耳打ちしてきた…なるほど。
「女性士官及び下士官兵から苦情が出ている。艦内の風紀が乱れて困ると」
「乱れの原因は小官ではなくて旗艦空戦隊のポプラン大尉では?」
ラオ参謀長が図星、という顔をした。そうなのだ、女性士官や女性兵士、及び下士官兵からの苦情は主にポプラン大尉という士官への物だ。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ