激闘編
第九十七話 矜持
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出兵してみない事には結果は分からないだろう?元はと言えば、軍がボーデンで勝てなかったからこうなったのではないかね?」
多分サンフォードはムーア達のでしゃばりに乗ってしまった事を後悔しているだろう。戦争をしている以上、戦場で勝ったり負けたりは付き物だ。結果としてアムリッツァは守られたのだし何の問題もないだろうに…そもそも何故古い資料を見せたのか分からないのか?まあ分からないんだろうな、仕方ない。グリーンヒル本部長とビュコック長官、キャゼさんにだけ聞こえる様に、言った。
「言葉を飾るのに飽きてきたんですが」
二人共苦笑すると、ビュコック長官が呟く。
「貴官の言いたい様に言ってやるといい。会議とはそもそも言葉を飾る場所では無いからな。どうですかな、本部長」
「構わないと思います。たまには本音を聞かせてやるのもいいでしょう。ウィンチェスター君、やりたまえ」
「ありがとうございます」
深呼吸して立ち上がろうとすると、キャゼさんが袖を引っ張った。
「おい、あんまりやりすぎるなよ。舌禍問題でお前さんが居なくなるなんて困るからな」
「分かってますよ」
16:40
国防委員長執務室、
ヤマト・ウィンチェスター
「何だね、さっきの会議での発言は!」
ネグロポンティが怒っている。
「事実を述べたまでですが…それがいけないと委員長代理は仰るのですか?」
「事実の述べるのは構わん、だが目上に対して礼を失するに余りある態度だったとは思わんのかね!」
まるで校長の顔色を気にする教頭だ。一緒に座らされている本部長や長官は学年指導と担任の先生というところか…。
「目上?政治家とはそれ程偉い存在なのですか?」
「何だと?」
「会議で述べた通りです。政治家、特に政府閣僚は市民が納める税金を公正にかつ効率よく再分配するという任務を託されて、給料をもらってそれに従事しているだけの存在です。社会生産に何ら寄与している訳ではありません。寄与していないと言えば、我々軍人もまた同じです。私たちはよく言っても社会機構の寄生虫でしかありません。それを認識してもらっただけですが」
「だからと言って…」
「まあ聞いて下さい。委員長代理、貴方も驚かれたのではないですか、前回の会議の内容を聞いて。軍内部の一部の不届者の絵図に乗って、議長は兵士達の命と政権維持を天秤にかけたのですよ。それでも私の発言が礼を失するに余りあると言われるのですか」
「それは…」
ネグロポンティは言い淀んだ。
「皆さん政治家の方々が世論や市民の意向を気にするのは分かりますが、その為に兵士を死地に追いやる訳には参りません。軍は帝国と戦う為に存在するのであって、政治家の地位を守る為に存在するのではありません。違いますか」
「それはそうだ、だがね、あの議長への発言は宇宙艦隊副司令長官の職
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