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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第九十七話 矜持
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がコーネフさんだったと」
「…ああ、そういう事か。しかし共犯はひどいな、ボリスが主犯で、私は被害者だよ…ところでユリアン」
「はい」
「彼は、ウィンチェスターは、フェザーンについて他にも何か言っていなかったかい?」
「他に、ですか?…活気があっていい所だったって仰ってました。エリカさんの叔父さんの経営するレストランもあるって…」
ユリアンはそこで口を止めて、腕を組んだ。
「そういえば…その時は気にならなかったんですけど…」
「何か気になる事があるのかい?」
「はい。同盟人はフェザーン人の事を拝金主義者と悪く言うけど、彼等をよく知らないのに悪口を言っちゃいけないって。俺達だってアーレ・ハイネセンや帝国のルドルフを歴史の授業で学んだ以上の事は知らないのだから、一方から見える顔が全てと思っちゃいけないよ…って仰ってました。ヤン提督のお言葉でそう仰ってたのを思い出しました…提督が言われた事と何か関係があるんですか」
「いや、関係無い…無くはないか」
ボリスの事はともかく、ウィンチェスターは何故ユリアンにそんな話をしたのだろう。ユリアンの将来性を買っているのか、それとも徒然の話だったのか。歴史の授業で学んだ以上の事は知らない…そんなことはない、ウィンチェスターの知識量は相当な物だ。特に帝国との戦いでは彼の知見が活かされている。軍事的識見もさることながら、彼は帝国内部の情報、それも表層的な物ではなく、我々が知り得ない知識を元に戦っている気がする…そうか、そういう事だったのか、やっと分かった、彼はおそらく知っているのだ。我々が知り得ない何かを…それを元に戦っている。やはり存在するのだ、彼にとってのケーフェンヒラー大佐が…だが彼は我々にそれを明かす事はない。多分話しても信じて貰えないと思っているのだろう。アッシュビーの再来とはよく言ったものだ。アッシュビーは知り得た情報を自己の栄達に利用した。若くして顕職に就いたアッシュビー、彼が生きていたらどうなったのだろう。巷間言われている様に帝国を打倒する事が出来ただろうか……いや、もしもは止めよう、既に我々にはアッシュビーの再来が存在するのだから…。
「いや、何でもないんだ。ユリアン、グリーンヒル少佐を呼んで来てくれないか」
「分かりました!」
ユリアンが弾かれたように司令部艦橋に向けて駆け出していく。あの子が大人になる頃には戦争は終わっているだろうか、出来ればそう願いたいものだ…。


5月17日13:30
ハイネセン、ハイネセンポリス、最高評議会ビル、国防委員会特別会議室、
ヤマト・ウィンチェスター

 俺の要請が通って、最高幕僚会議が開かれる事になった。閣僚で参加しているのは…
最高評議会議長ロイヤル・サンフォード
国務委員長ジェイムス・アイアデル
情報交通委員長コーネリア・ウイン
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