激闘編
第九十七話 矜持
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のか、それを問います」
「…副司令長官は中々過激ですな」
「当たり前ですよ、大勢の軍人や市民の命がかかっていますし、議長は最高司令官なのですから。覚悟を持つのは当然ですよ」
長年戦争をやっているせいだろう、政治家達の中には戦争は軍がやっている、という間違った認識がある様な気がする。実際には確かにそうだけど、他人事過ぎるのだ。あまりにも遠く離れた場所で戦闘が行われているから、現実味がないのかも知れない。
「覚悟ですか。確かにその通りですね」
5月16日09:00
ジャムジード星系、自由惑星同盟軍、第一艦隊旗艦ヒューベリオン、
ヤン・ウェンリー
「世話になったねヤン提督。帰りも君が迎に来てくれるのかな?」
「…ご希望に沿える様善処します、国防委員長」
「ハハハ、善処か。期待しているよ」
トリグラフからはアッテンボローがシャトルで迎えに来ていた。何故か完全武装の装甲儀仗兵を自ら率いるシェーンコップも居る。
「宜しく頼むよ、アッテンボロー提督」
「お任せくださいヤン提督」
「ところで何故シェーンコップ大佐が此処に?」
「いや…色々ありまして」
アッテンボローはそう言って頭を掻いたが、シェーンコップ自ら率いて来ただけあって、儀仗兵の捧げ銃の動作は大したものだった。
一行を乗せたシャトルが移乗ハッチを離れて行く…私の艦隊はこれからアムリッツァに向かわねばならない。
「アッテンボロー提督、行ってしまいましたね」
ユリアンが一瞬寂しそうな顔をする。ユリアンは兵長待遇の軍属、私の従卒として今回の出撃から行動を共にしている。
「そうだね。今思うとお前も乗せてって貰えばよかったかな」
「フェザーンへですか?」
そう返事をするユリアンの顔が一瞬曇った。
「お前が邪魔だからとかそういう意味じゃないよ。見聞を深めるのも経験だし、お前には広い視野を持った大人になって欲しいんだ。それにフェザーン人が、同盟をどう見てるか知って欲しいというのもある。一方からでは見えない景色という物があるからね」
「なるほど…」
「私も小さい時だったがフェザーンに行った事がある。私のの親友も一人、フェザーンに居るんだ」
「そうなんですね!何という方ですか?」
「ボリス・コーネフという奴さ。仲間うちでは悪たれボリスで有名だった。親泣かせ、友達泣かせのひどい男で、奴の悪戯に何度私も泣かされた事か」
「その悪戯のほとんどは優秀な共犯が居てこそのもの…ではなかったんですか?」
笑いを押し殺しながら言うユリアンに、私は思わず聞き返していた。
「…誰から聞いたんだい?」
「すみません提督、実はコーネフさんの事を以前にウィンチェスター提督から聞いた事があるんです。ウィンチェスター提督はフェザーンに軍の任務で行った事があって、その時に雇った商船の船長
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