激闘編
第九十七話 矜持
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シェーンコップへの苦情は無い。近い将来同盟軍の誇る二大漁色家…になるかもしれない二人の一方を退治しようとした参謀長の目論見は見事に砕け散った…だが上官としては、ポプラン大尉への苦情を利用して豪勇シェーンコップを退治しようとした勇者ラオの勇気は買わねばならない。
「とにかく艦内の風紀が乱れているのは事実なんだ。ポプラン大尉の引合いに出される貴官にも非はある。気を引き締めるのは貴官の方だろう?」
「艦内の風紀を取り締まるのは艦隊司令官ではなく、旗艦艦長や副長の任務であり権限だと小官は認識しておりますが…如何でしょう?」
俺とシェーンコップのやり取りを面白そうに見ていた旗艦艦長のガットマン大佐が俺から目を逸らした…なんてこった…。
「艦隊司令部にも苦情が来ているんだ!」
「小官は抱かれて苦情を言う様な女を相手にした事はありません。それに…小官の経験から申し上げますと、風紀がどうとか苦情を言うのは男に相手にされない女や、もてない男共だと決まっておりまして…ポプラン大尉には博愛精神を徹底しろと言っておいて下さい。では」
慇懃な敬礼をしてシェーンコップが司令部艦橋を降りて行く。では、じゃないだろう!
「…参謀長、貴官のせいじゃない。ポプラン大尉にはきつく指導をしておくように」
「…了解、であります」
5月15日18:00
バーラト星系、ハイネセン、ハイネセンポリス郊外、統合作戦本部ビル、
ヤマト・ウィンチェスター
今頃ジャムジードでヤンさんとアッテンさんが会合している頃だろう。帝国は捕虜交換の使節としてヒルデスハイムとミュッケンベルガーをフェザーンに派遣するという。幕僚副総監と宇宙艦隊司令官…帝国政府は政府同士のやり取りにしてしまうと面子が潰れると考えたのだろう。だったらこちらもビュコック長官か俺でいいのでは?と思って、トリューニヒトに俺が行こうかと伝えたんだけど、自分が行くと譲らなかった。
『面子を考えるのは向こうの勝手だよ。それに話を持ちかけたのは同盟だ。あまり地位の低い者を出すと…君の地位が低いと言っている訳ではない、面子を潰されたと言って騒ぎ出すかも知れんだろう?』
現役の第一線の政治家として、こういう面ではやはりトリューニヒトは有能だった。まあ、同盟市民へのアピールの場を逃したくないからなのかも知れないけど…であれば、せめてヤンさんの第一艦隊と再編成の終わった第十艦隊を連れて行けと言ったら、
『君でなくともミラクル・ヤンを連れて行ったら帝国を刺激するだろう。それに二個艦隊も出すとフェザーンも快くは思わないだろう。政府首班ではないが主要閣僚として私、護衛の任務もあまり仰々しくない方が帝国も我々を卑下しないだろうし、帝国の面子も充分に立つだろう』
という事でアッテンさんに行ってもらおうと思ったんだ。第十三艦隊も帝国
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