八十九 英雄誕生
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込みすぎる彼女の負担を少しでも減らしたくて、もう動くのも辛そうなナルを背中に乗せる。
彼女をおぶって、共に木ノ葉の里へ歩みを進めたカカシはやがて聞こえてきた歓声に、ナルへ顔をあげるように促した。
カカシの背中から降りたナルが、きょとんと眼を瞬かせる。
ペイン天道の攻撃によってもはや更地と化している木ノ葉の里。
英雄の帰還に湧き上がる歓呼の里に出迎えられて、戸惑うナルの頭を、カカシはぽんっと軽く撫でた。
「みんな…おまえが帰るのを待ってたんだ」
かつては煙たがれる存在だった。
九尾と同一視され敬遠され、孤独に追いやられていた小さな子ども。
嫌われ、馬鹿にされ、存在価値を認めてもらえなかった。
それが今や英雄として心の底から歓迎されている。
その存在の価値に里の誰もが認め、喜び、救われている。
それがどれほどのことか。
どれだけ凄いことか。
間近でずっと見ていたからわかるカカシと、同じくその大変さを理解しているが故に、心の底から嬉し泣きをしているイルカの前で、真っ先にナルに駆け付けた者がいた。
「よかった…!シカマ…」
「この…っ、超馬鹿…ッ」
ナルの頭を軽く叩く。
自分を庇ってペイン天道に立ち向かい酷い重傷を負ったシカマルの無事な姿にほっとする暇もなく、その当の本人に叩かれ、ナルは「痛いってばよ…っ、しかま…」と抗議しようとし。
直後、力の限り、抱き締められた。
「……―――よかった……」
おまえが無事で、生きててくれて…ほんとうによかった。
万感の思いで抱き締めてくるシカマルの背中に、おずおずと手を回したナルは、ようやっと実感した。
生きている。
自分ではなく、大切な人達が誰一人欠けることなく。
生きててくれた、と。
ようやく理解できて、視界が霞む。
ぼろぼろと流れる涙をそのままにしていると、ナルの泣き顔を周りに見られないように、シカマルが自身の肩へぐっと彼女を引き寄せた。
その様子を若干面白くなさそうに遠目で眺めるキバの隣で、チョウジが「いいの?」と訊ねる。
「今回はアイツに譲ってやるよ…おもしろくねーけど。でも次はねェかんな」
実際、ナルの窮地を救ったのはシカマルだ。
だから今回だけは眼を瞑ってやる、と唇を尖らせるキバに聞こえない程度の声で、ネジがぼそりと「ライバルが多いな…」と呟く。
やがて落ち着いたナルが木ノ葉の里の皆に手放しで歓迎され、胴上げされているその様子を、唯一残っていた里の象徴たる火影岩が眩しげに見下ろしていた。
木ノ葉の救世主。
里の英雄。
誰もが彼女を歓迎し
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