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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十九 英雄誕生
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「そっか…エロ仙人…生きているのか…」

そっか、とはにかむ彼女の目尻から音もなく溢れる雨に気づかないふりをして、小南は更に衝撃的な真実を淡々と述べる。


「ちなみに自来也先生を助けたのは大蛇丸よ。流石に三忍ふたり相手じゃ流石の長門も手を焼くわ」
「………はっ!?」


なにがどーしてそうなった!?と次から次へと明かされる衝撃の事実に混乱する。
目をぐるぐるにして困惑していたナルは、直後、ぱっと目の前に突き出されたソレによって正気に戻った。



「長門がおまえを信じたなら私もおまえを信じる。弥彦と長門の夢がおまえに託された今、おまえがふたりの夢だ。我ら雨隠れはおまえと共に夢を追いかけることにしよう」

紙でつくった花。闇を照らす希望の花束を、小南は夢と共にナルに託す。


「私にとっては弥彦と長門が全てだった。だから、」

弥彦の夢と長門の夢。双方の夢を譲り受けた目の前の少女へ、小南は希望を見出した。
長門と同じく、平和の架け橋になってくれる存在だと。



「今度こそ、おまえは散ることのない希望の花であってくれ」














ぐらぐらと霞んで見える世界。
絶え間ない息遣いと共に、足がもつれる。

長門と弥彦を連れ帰った小南と別れ、自来也が生きていると知った今、ずっと張り詰めていた気も緊張も全て緩む。
途端、どっと力が抜けた。

体力も気力もチャクラも限界をとうに超えている。
なんとか事務的に足を動かし、木から木へ跳躍していたナルは、次の瞬間、足を踏み外した。

着地点だった木の枝からぐるり、と頭から落下する。
地面に衝突する寸前、ナルは誰かに抱き止められた。


「まったく…里を救った英雄が木から落ちて怪我なんてしちゃダメでしょーよ」

聞き覚えのある声を耳にして、疲れ切っていた身体が一瞬、元気を取り戻す。

「カカシ先生…っ!無事だったんだってばね!」
「…強力な助っ人のおかげでなんとかね」


木ノ葉の里の窮地に何故か現れた新生“暁”を名乗る人柱力達。
そのうちのふたりに危ないところを助けてもらったカカシは、ひとりでペイン六道の本体のもとへ向かったというナルの行方を探っていた。
道中、元祖・猪鹿蝶であるいのいち・シカク・チョウザから得た情報をもとに付近を探っていたところ、ふらふらで帰路についているナルを見つけたわけである。

「よく…頑張ったな」



ひとりで木ノ葉の里を襲撃した敵に立ち向かい。
ひとりで敵の懐に飛び込み。
ひとりで解決した。

ひとりでなんでもやりすぎな気がするが、それでも昔からずっと見てきたナルの成長ぶりは胸に迫るものがある。
たくさんのものを背負い
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