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渦巻く滄海 紅き空 【下】
八十八 雲隠れ
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お前は…俺とは違った道を歩く未来を予感させてくれる…」




そういえば自来也の書いた本の主人公は“ナルト”だった。
けれど自分が知るナルトと、目の前にいる波風ナルは容姿こそそっくりだが、長門には結びつかなかった。


ナルが本の主人公のようにまっすぐに突き進む太陽ならば、ナルトはひっそりと全てを見通す月の影。
月ですらなく、だが影故に、何事にも縛りつけられず何者をも寄せ付けない。

それが長門の知るナルトだ。



本当は雁字搦めに縛られ過ぎて闇に染まり過ぎているのだがそれすら悟らせないナルトの真実を、長門でさえ現時点で見抜くことができなかった。



「波風ナル…おまえといい、師の本といい…何もかも誰かが仕組んだ事のように思える…全て誰かの掌の上で転がされているような…」


不意に、長門の知るナルトの姿が脳裏に過ぎる。
同じ名を持つ反面、自来也の本の主人公にはなれなかった彼は、いったい何者なのか。


神と名乗った自分と違って、それこそ彼のほうが――――。



「…これこそが、本当の神の御業なのか…」

す、と両の手を合わせ、祈るように組んだ印を見て、小南が弾かれたように振り仰いだ。


「長門…ッ、アナタ…」

引き留めようとするその眼差しを、長門は微笑みで以って拒絶する。


「俺の物語はここまでのようだ…続編はお前自身の生き様を読ませてくれ…」



絶望の果てに明るい未来と希望を見出した不思議な子――波風ナル。
彼女に、『暁』のリーダーとしてではなく、ペイン六道としてではなく、ただの忍びとして、長門は託す。



憎しみの連鎖を断ち切り、世界を平和へと導いてくれる救世主へ。


「―――【外道・輪廻天生の術】」



























「あのキラービー様がヘマこくわけないだろ!どうせ何かの悪い冗談だって」

雷影から命じられた任務。
木ノ葉の里へ赴き、火影に公文書を渡すという重大な役目を承ったオモイとカルイは、火の国への道なりを言い争いながら進んでいた。


「私らの師がそう簡単にやられるわけねーんだよ」
「ビー様が心配じゃないのか!?もしかするともう…」
「だからって勝手な妄想すんじゃねェ、オモイ!てめーの悲観的な考えは聞きたかねーんだよ!」
「そーゆーカルイは、なんでそんなに楽観的なんだ!」

言い争うビーの弟子であるオモイ・カルイの口論を止めるべく、隊長であるサムイは双方の間に割って入る。

「いい加減になさい…忍びならもっとクールになさい!クールに」


サムイの鶴の一声で、ハッとしたオモイが「そ、そうか…何事も
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