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神々の塔
第八十三話 光の神その七

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「その最期はな」
「そんなものね」
「そや、それであんな悪党でもな」 
 施の言う通り中国の長い歴史でも有名なだ。
「最期はな」
「呆気ないものだったのね」
「そやったわ」
 そうだったというのだ。
「これがな」
「そうなのね」
「そしてな」
 さらに言うのだった。
「あんな悪党でも鬱になる」
「何をしても平気な様で」
「それが人やろな」
「誰でも落ち込んで」
「鬱にもなるわ」
「そやな」
 今度はメルヴィルが言ってきた。
「ほんまどんなタフそうな人でもな」
「鬱になる時はなるな」
「その時それぞれの原因でな」
 シェリルにこう返した。
「なるわ」
「そうよね」
「それでなってもうたら」
「かなりしんどいわ」
「抜け出るのは難しいらしいしな」 
 これは症状の状況による、中には相当な苦労をしてもそれでも治らないという人も存在しているのだ。
「時として」
「そやな」
「ほんま人は複雑や」
 シェリルはこんなことも言った。
「強そうでや」
「実は弱いな」
「それこそ仏教で言う涅槃に達するか」
 悟りを開いてというのだ。
「それか人でない」
「バケモノになることか」
「その心がな」
「どっちかやな」
「涅槃まで高まるか」
 心がというのだ。
「バケモノまで堕ちるか」
「どっちかやな」
「ほんま腐れ外道になると」
「ああ、もう鬱になるとかな」
 メルヴィルもまさにと応えた。
「ほんまや」
「ないな」
「それこそや」
 メルヴィルはさらに言った。
「バケモンでもないとな」
「人は何かとあるな」
「涅槃に達するかな」
「そんなんそうそうな」
「おらんな」
「そんな人はな」 
 そえこそというのだ。
「出会えたら奇跡や」
「涅槃に達するとかな」
「それでバケモンになるのもな」
 そちらもというのだ。
「ないな」
「ああ、そこまで堕ちるのもや」
 人でありながらその心が人の底を抜いてさらに堕ちる、そこまで堕ちることもというのである。メルヴィルは真剣な顔で言った。
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