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ハッピークローバー
第百四十三話 豆腐を食べてその十五

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「いいことを言う人はね」
「いないわね」
「一人もね」
 まさにというのだ。
「いないわ」
「そうよね、しかし人が死ぬことはそれを見る人に色々なものを見せるって」
 今の話を思い出しつつだ、一華は話した。
「お話してくれたけれど」
「それでも変わらない人もいるのよ」
「何も見なくて」
「自分のことだけでね」
 人の死それも極めて親しい人達のそれを前にしてもだ。
「喪主やるとか勝手に上座上がったりとか」
「そんなことする人いるよね」
「それでこんな人になったら」
 その時点でというのだ。
「幸せになれないわよ」
「誰からも匙を投げられるから」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「相手にもされなくなって」
「それじゃあ幸せになれないわね」
「ええ、何でもね」
 ここで母はその人についてこう話した。
「今は関西の何処かで生活保護を受けてね」
「暮してるのね」
「そうみたいよ」
「そうなのね」
「一応ね」
 こう前置きして言うのだった。
「生きてるけれど」
「そんな人の為にないでしょ、生活保護」
 一華は極めて嫌そうに述べた。
「普通に暮らしていてどうしようもなくなった」
「そんな人達の為にあるものね」
「障害があったりね」
「その人ないわよ」
「そんな人がね」
 母に実に嫌そうに話した、
「貰うなんて」
「間違ってるわね」
「そう思うわ」
「そんな人はどうなるべきか」
「野垂れ死んだらいいでしょ」
 一華は一言で答えた。
「こんなこと思ったらいけないけれど」
「酷過ぎる人だから」
「有名だしね、その人」
「グループ全体でね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「付ける薬もない」
「そんな人だから」
「人ですらないでしょ」
「餓鬼だって言う人もいるわ」
 母はこう答えた。
「仏教のね」
「あの餓鬼道の」
「いつも餓えて渇いてるね」
「骨と皮ばかりでお腹だけ出た」
「あの餓鬼だってね」
 人でなくというのだ。
「あまりにも浅ましくて自分だけだから」
「そこまで言われてるのね」
「あの人はね」
「そうね」
 一華は母の話を否定せずに帰した。
「もうね」
「そう言っていいわね」
「そう思うわ」
 自分もというのだった。
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