第百四十三話 豆腐を食べてその十三
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「暫く後で親戚の人がお亡くなりになったんだ」
「その時もやらかしたの」
「倒れたと聞いてもそうか、でな」
そんな態度でというのだ。
「麻雀してお葬式でもな」
「その時もなの」
「お葬式の後の食事会でな」
この時にというのだ。
「家族でもないのに上座に上がったんだ」
「それって無作法よね」
「遺族の人を励ますつもりでやった様に見せてな」
その実はというのだ。
「それなら自分の食事持って行かなくてその場は少し言ってな」
「後でよね」
「言うものだけれどな」
それがというのだ。
「自分の分まで持って行ってな」
「上座に上がったの」
「それでずっといたんだ」
その上座にというのだ。
「そうだったんだ」
「それもないのよね」
「無作法なんてものじゃない」
その行いはというのだ。
「それで借りた喪服その場で脱いで貸した人に押し付けて帰ったんだ」
「何が面白くなかったのか」
「そこでも軽く見られたのが嫌だったんだな」
「喪主出来なくて」
「その時も扱い悪くてな」
「自分の扱いが大事じゃないわよね」
一華は豆腐を見つつ述べた。
「絶対に」
「そうだな」
「お亡くなりになった人がどうかで」
「その人達のことなんてな」
「全く考えていなかったのね」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「ずっと自分がどうか」
「お葬式の時の立場が」
「それだけを考えていたんだ」
「それじゃあ死んだことを前にしても何も思わなくて」
「学ぶことなんてな」
「ないわね」
「実際その人は悪い意味で子供のままだった」
そうだったというのだ。
「五十位でもな」
「お父さんお母さんより年上じゃない」
「それでもな」
そうであってもというのだ。
「これがな」
「そんな人だったのね」
「ああ、だからな」
父はそれでと話した。
「皆匙を投げたんだ」
「見捨てたのね」
「何があっても自分だけで」
そうした輩であってというのだ。
「それでな」
「そのうえでなのね」
「しかもな」
それに加えてというのだ。
「何があっても成長しない」
「そんな人のままね」
「だから見捨ててな」
「知るかってなってるのね」
「そうだ、それでその人は誰か」
父は話した。
「八条分教会にいた人だ」
「ああ、あの人ね」
そう言われてだ、一華もわかった。
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