第108話 凶報
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忠誠かの方が重要じゃない?」
「C−七の態度、どう思います?」
「アンタの話を信じる限りにおいては、控えめに言って『糞喰らえバーカ』だね」
「フフフフフフフッ」
毒の無さそうな含み笑いをしつつバグダッシュは肩を竦める。モンテイユ氏もそうだが一応は短期派遣となるにもかかわらず、俺の手元に人を送り込もうとするのか。しかも若い女性に限っているところに腹が立つ。俺が口をへの字に曲げているのを見て、さらにひとしきり笑うと、バグダッシュは降参といった表情を浮かべてグラスを掲げる。
「わかりました。秘書官を送り込む代わりと言ってはなんですが、今回の件の迷惑料として、何か私にネタくださいませんかね?」
俺をスパイするつもりだとゲロしながら無心してくるその態度は、主義主張は生きるための方便と言い切る男らしい。だからこそ中央情報局の件を教えてくれた対価を支払わなければ、バグダッシュは俺から少し距離を取ることになるかもしれない。俺はグラスに残っている赤を飲み干してから溜息をついて応えた。
「モンテイユ氏のことは?」
「アンタと言葉通りの意味で仲の良い堅物の財務官でしょう? 彼がどうしたんです」
「彼には昨日話したばかりだから、一日遅れになるんだけど」
「結構ですよ。予算と税金に関係のないことでは、財務委員会の神経伝達速度が遅いのはよく知ってますからね」
濃厚なナバハスに飽きたのか、さっぱりしたボケロネスを摘まみ始めたバグダッシュは、皮肉そうな口ぶりで言う。
「それでも財務官殿に関わりがあるってことは、お金に関することなんですな」
「資源系投資会社のユニバース・ファイナンス社、知ってる?」
「いや、知りませんが……で、そいつはアンタが『気に入らない奴』ですか?」
「調べた後でどう処分するかは、そちらにお任せするよ」
「OK。調べてみましょう。ですがまぁ……想像するにまたC(中央情報局)の人達から嫌がられそうな話になりそうですな」
それはそれで愉快痛快ですがね、と人の悪い笑みを浮かべてバグダッシュは小さくグラスを掲げるのだった。
◆
宴席から三日後。予想通り中央情報局の担当者と名乗るものからアポイントの依頼があり、俺は快く受けることにした。国防委員会のオフィスに中央情報局の人間を入れること自体あまり好ましいとも思えないが、『公式には』何もやましいことがあるわけでもない。
それでも一応は防諜として部屋のあらゆるところに監視カメラと録音装置を仕掛けることは忘れない。ソファに座れば見えるように、妨害防御のないタイプを設置するのがコツだ。
「中央情報局作戦本部二課のジョン=エルトンさんと、七課第三班のヒュー=ピースさんですか」
相対してソファに座る、俺から見て右手のニコニコ顔の壮年がジョ
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