第百四十三話 豆腐を食べてその十一
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「その時どう思って動くかで」
「どう思われて動かれるか」
「それがね」
「大事なのね」
「人生観変わることもね」
そうなることもというのだ。
「あるしね」
「死ぬのを見て」
「ええ、全くね」
「そうなるのね」
「宗教的な考えにもね」
「なったりするのね」
「逆に誰かが死んでも」
そうなってもというのだ。
「全く何も思わない人はね」
「おかしいわね」
「ええ」
そうだというのだ。
「誰が死んでもね」
「何も思わない人は」
「ある人は長男さんで」
その立場でというのだ。
「お母さんが亡くなって」
「大変なことよね」
「けれどね」
そうなったがというのだ。
「喪主は自分がやるってね」
「長男さんだから?」
「そう思い込むだけで」
それでけでというのだ。
「ふんぞり返っていたのよ」
「お母さんの死より喪主の方が大事だったの」
「そうだったの」
「あの、どういう人か」
「喪主は立場だから」
それでというのだ。
「その立場を務めて偉いから」
「それでなの」
「そう思うだけでね」
それでというのだ。
「人が死んでもね」
「それも実の親が」
「それでもね」
「何も思わなかったのね」
「自分のプライドだけで」
考えることはというのだ。
「本当にね」
「そうしたことを考えないで」
「それでね」
そのうえでというのだ。
「実はお亡くなりになるまでの看病もね」
「しなかったの」
「暮してるのは入院している病院の傍だったのに」
それでもというのだ。
「次男さんの奥さんに任せて」
「それでなの」
「全くね」
「看病しなくて」
「それでね」
「喪主だけはなの」
「自分がするものだってね」
その様にというのだ。
「思い込んでいたのよ」
「そういう問題じゃないわよね」
「そうでしょ」
「ええ、自分のお母さん亡くなって」
「そのことを何とも思わないでね」
そうであってというのだ。
「ただね」
「自分のことだけを考えていたの」
「そうだったのよ」
「そんな風にはなりたくないわ」
一華は母の話をここまで聞いて心の底から嫌そうな顔になって述べた、幾ら何でもそれは有り得ないとだ。
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