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邪教、引き継ぎます
第五章
45.包囲完了
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、刺さる視線を受けた。
 ロスは少し困ったような顔をしたが、すぐにいつもの鉄仮面のような顔に戻った。

「俺ら三人は邪教滅亡そのものが十分な見返りだ。だが他の者たちにその考えを押し付けるわけにはいかない」
「大丈夫。わかってるわよ」

 頭巾から漏れ出る豊かな紫の髪と、白いローブの裾を、アイリンが揺らす。

「頑張りましょうね。あのときのムーンブルク城のような悲しい出来事はもう二度と起きてほしくないから」

 カインも力強くうなずいた。

「遠征だしこの人数だから、物資は長くもたない。できるだけ早く、しかも確実に勝たないといけない。行けそうなタイミングになったら、僕ら三人も神殿に乗り込んで魔術師君の首を取って、しっかりと終わらせよう」
「すでにスタコラサッサと脱出済みというオチはないのかしら」
「ないね。賭けてもいい。彼は自分だけ逃げることはしないよ」

 その断言ぶりに、ロスが(いぶか)しげにカインを見た。

「海底の洞窟で彼と戦ったときに何かあったのか?」

 海底の洞窟での一件について、戦闘の内容までは詳しく聞いていなかった。もちろん、それはアイリンもである。

「うん。魔術師君に抱きつかれたり、噛みつかれたり」
「なんだそれは」
「思ってたよりずっと根性あるよ、彼」

 緑の魔法戦士は続けた。

「体も意外にしっかりしてたんだよね。僕、転がされたもん。戦いの才能があったようには思えないから、相当な努力をして成長したんだろうなって思った」

 あらためて、碧い瞳を神殿に向ける。
 そして、上に魔物が載っている背の高い(やぐら)や、信者や各種魔物が守る頑丈そうな塁と柵、深く掘られた空堀を見た。

「彼、本当はただの平凡な魔術師として消えていくはずだった人間だと思う。体を鍛えることもなく、戦いのことを勉強することもなく、リーダーとしての経験をすることもなく……。それがあのときたまたまハーゴンの神殿で一人生き残ったことで、魔物たちに担ぎ上げられ……そこから相当頑張ったんだろうな」

 カインの言葉は途中から、二人に聞かせるというよりも、独り言のようになっていた。

「『自分に似ている』と思っているのかしら? あなたも最初のころは酷かったんでしょう?」

 察したアイリンがそう言うと、今や世界最強と噂されることもある魔法戦士は微笑んだ。

「鋭いね。僕も才能は全然なかった。ロスやアイリンと一緒に旅をすることがなかったら、たぶん今もダメなままだったよ。
 立場が人を作る――誰かが言ってたな。僕はそれが幸いしたのかもしれないけど、彼はどうなんだろう」

「順調にいけば、『災いした』と言えるだろうな」

 表情を変えずに、ロスが答えた。

「だよね。彼を追い詰めて
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