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金木犀の許嫁
第三十五話 大阪でのデートその十一

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「カレーもね」
「そうだったのね」
「それが今でもよ」
「残ってるのね」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「いづも屋も自由軒もね」
「それでも今のいづも屋は」
「わからないわ」
「船場の方にあるけれど」
「ちょっとね」
 今現在はというのだ。
「そうした鰻丼あるかは」
「わからないのね」
「そうなの」
 まさにというのだ。
「実はね」
「そうなのね」
「お姉ちゃんも言ったことないから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「具体的にはなのね」
「どんな風かね」
 それはというのだ。
「本当にね」
「知らないのね」
「いづも屋についてはね」
「出来たらね」
 夜空は期待を込めて言った。
「行きたいわ」
「お腹と相談ね、あとね」
「あと?」
「夫婦善哉読んでたら」
 まさに今回のデートの参考としているこの作品をというのだ。
「粕汁とか関東煮もね」
「粕汁は知ってるけれど」
 この料理はとだ、夜空は真昼からその二つの料理を言われて微妙な顔になってこうしたことを言った。
「私最初関東煮とか言われても」
「わからなかったわね」
「ええ」
 そうだったというのだ。
「ちょっとね」
「私も。関東煮って言われても」
「何かって思ったわね」
「おでんだったなんてね」
「思わなかったわ、何でもね」
 それこそというのだ。
「関東じゃね」
「お醤油で味付けするから」
「こっちは元々お味噌でね」
「それでお醤油で味付けするおでんがね」
「関東煮だったのよ。それかね」
 真昼はさらに話した。
「中国の広東省でああしたお料理あって」
「広東が関東になって」
「伝わったともね」
「言われてるのよね」
「その粕汁とか関東煮もね」
 そうしたものもというのだ。
「若しかしたらね」
「食べるのね」
「そうしてもね」
「いいのね」
「そうだと思うわ」
 こう言うのだった。
「まあ流石にね」
「カレーに善哉に鰻丼となると」
「入る場所ないと思うけれど」
「甘いものは別腹でも」
「そうであってもね」
 そう言われてもというのだ。
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