第三十一話 襲撃その二十
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「食べ方にな」
「お料理もだね」
「学びな」
「伝えるんだね」
「そうしよう」
「それじゃあね」
「あの、絶対にね」
アムはラクレスの今の言葉を聞いて言った。
「ラクレスさんって名君よね」
「そうだな」
トウもその通りだと頷いた。
「聞いているとな」
「少なくともずっとまともに王様でいてね」
「評判もよかったしな」
「正体がわかった様に見えて」
「実は違ったしな」
「そう考えたらね」
「この人は名君だ」
そうだというのだ。
「紛れもなくな」
「そうよね」
「うん、兄さんは凄いよ」
弟であるハスティーもその通りだと答えた。
「いつも誰よりも皆のことを考えている」
「そんな人よね」
「そうだよ、そんな兄さんが前の王様で」
アムににこりと笑って話した。
「よかったよ」
「そうよね」
「そして人としてもね」
王としてだけでなくというのだ。
「とてもね」
「立派よね」
「ずっと誤解していたけれど」
それでもというのだ。
「実はね」
「違っていて」
「こんな素晴らしい人はいないよ」
「そう言われると困る」
ラクレスは二人の会話に苦笑いで言った。
「私はだ」
「何もしていなかった？」
「何も出来ないどころかだ」
アムに悔恨を以て言うのだった。
「多くの者の命を奪った」
「そのこと言うの」
「事実だからな」
「そうなのね、けれどね」
アムは俯いたラクレスに話した。
「あんた今ここにいてダグデド達とも戦ったでしょ」
「機を伺っていてか」
「だったらいいんじゃない？というか一番苦しかったのはあんたでしょ」
人が多く死ぬのを見ても機を伺っていたというのだ。
「そうでしょ、だったらね」
「いいというのか」
「私はね、あんたは凄い人よ」
屈託のない笑顔で告げた。
「本当にね」
「そう言ってくれるか」
「ギラの言う通りにね」
「そうなのか」
「そう、だからこれからはね」
「国の為民の為にか」
「働いていけばいいのよ」
そうすればというのだ。
「皆わかってくれてるわよ」
「そう、皆もうわかっているよ」
ハスティーも弟としてだ、兄である彼に微笑んで話した。その微笑みは何よりも温かく優しいものだった。
「だからこれからは」
「皆の為に頑張ろう」
「わかった、そうしていこう」
ここでラクレスも頷いた、そうしてだった。
戦隊の面々はダグデド達に勝ったことを祝う為に沖縄に戻った、そしてそこで心ゆくまで飲んで食べるのだった。
第三十一話 完
２０２４・７・２４
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