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化かすかどうか
第二章

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「ちょっとね」
「人を化かさないか」
「そうじゃないかしら」
「じゃあそれは嘘か」
 洋介は母の話を聞いて言った。
「そうか」
「嘘でもないでしょ、ただ犬は妖怪になっても」
「人を化かさないか」
「そうした生きものじゃないんでしょ」
 こう言うのだった。
「別にね」
「そうなのね」
「ああ、そしてな」
「そして?」
「狐や狸が人を化かして」
 そうしてというのだ。
「化け猫がいてもその猫それぞれでしょ」
「歳を取ってか」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「化かすのもね、そしてふわりが何十年もいきて」
「それでもか」
「妖怪になっても人を化かすと思う?」
「それはないな」
 洋介は断言した。
「絶対に」
「そんな娘じゃないでしょ」
「妖怪になってもな」
「それにそうした妖怪ってね」
「狐や狸や犬が何十年も生きたか」
「妖力を備えただけだから」
 だからだというのだ。
「別にね」
「怖くないか」
「そうよ、それでその子次第だから」
「それぞれの性格次第か」
「それだけで悪くないわよ」
「悪いことをしたら問題か」
「妖術使って化かしたらね」
 その時はというのだ。
「問題なのよ」
「それだけか」
「そうよ、むしろふわりが何十年も生きて」
 そのふわりを見つつ話した。
「妖力を備えて妖怪になってさらに生きたらいいでしょ」
「何十年も生きるだけでな」
「そうでしょ、妖怪になるなら」
「なって欲しいな」
「それだけ長生きしてくれるならね」
「全くだな、そう思うからな」 
 洋介は母の話を聞いてふわり今も部屋の中を歩き回って楽しい時間を過ごしている彼女に対して言った。
「ふわり長生きしろよ」
「ワン」
 ふわりは今は話を聞いていなかった、だが。
 呼ばれて鳴いて応えた、そして家族のところに来て今度は彼等に遊んでもらってこれまた楽しい時間を過ごしたのだった。


化かすかどうか   完


                     2024・9・21
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