第二章
[8]前話
「髪の毛はな」
「ずっとあって欲しいね」
「白くなってもいいけれどな」
白髪でもというのだ。
「ずっとだよ」
「髪の毛はあって欲しいね」
「岡田さんの話したけれど掛布さんもだけれどな」
「あの人も若い頃からだね」
「けれどな」
それでもというのだ。
「俺は禿げないぞ」
「絶対にだね」
「ああ、ロンドンに行ってもな」
それでもと言うのだった、こう言ってだった。
高部は中西と別れてロンドンに行った、そして十年後日本の本社に戻って中西と再会したがその時にはだった。
「きたね」
「ああ」
見ればつむじからなかった、前からきている中西とはそこが違っていた。
「前はまだ残ってるけれどな」
「ザビエルタイプだね」
「五年前から急にな」
「きたんだね」
「そしてな」
「今はだね」
「こうだよ」
そのつむじからきている頭を指差して話した。
「俺もきたよ」
「そうなったね」
「全く、絶対に嫌だと思っていたのが」
「きて」
「最初は嫌で嫌でな」
そう思ってというのだ。
「仕方なかったよ」
「僕は最初からやっぱりと思って」
「それでか」
「終わったけれどね」
そうであったがというのだ。
「遺伝だから」
「そういえば俺は母方の祖母ちゃんがな」
「そうだったんだ」
「ああ」
こう答えた。
「これがな」
「遺伝だね」
「あと偏食か、イギリス食いものまずいだろ」
「評判だね」
「それでマクドとか中華とかばかり食ってたらな」
「油が多くて」
「それが髪の毛にきてな」
そうなるというのだ。
「どうもな」
「そうだったんだ」
「全く、人にどう言ってもな」
「自分もってなるね」
「そうだな、そのことがな」
今はというのだ。
「わかったよ」
「自分もそうなって」
「ああ、しかし一度きたらな」
それならというのだった。
「もう開き直れるな」
「そうそう、というか開き直らないとね」
「やっていけないな」
「そうだよ、それに髪の毛がなくなっても」
中西は高部に笑って話した。
「生きられるしね」
「そうだな、それじゃあな」
「うん、このままね」
「生きていこうな」
「髪の毛のことを受け入れてね」
「そうしてな」
二人でこうした話をしてだった。
そのうえで髪の毛のことを笑い飛ばして生きていった、そうすると楽だった。むしろ自分からネタにする二人を周りは器が大きいと認める位であった。
十年後再会すると 完
2024・9・21
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