第一章
[2]次話
テキ屋の秘密
夏祭りの出店に行ってだ、高校生の梅原朗希は一緒にいる言った。すらりとした長身で脚が長く色白で面長である。黒髪は短く明るい顔立ちだ。
「僕前から思っていたけれど」
「何にだ?」
「どう思ってるんだ?」
「うん、出店の景品って」
自分達の左右にある店達を見回しつつ話した、多くの店が連なりそれ以上に多くの人が行き来している。
「獲れるのかな」
「いいのは獲れないだろ」
「一等のはな」
「そういうのは無理だろ」
「獲った話聞いたことないな」
「そうだね、プレステ5とかあるけれど」
一等の景品にはというのだ。
「獲った人なんてね」
「いないよな」
「射的でも何でも」
「獲った人いないな」
「どんなお祭りの時でもな」
「輪投げとかでも」
ゲームの話もした。
「微妙にね」
「入りにくいよな」
「輪の大きさが」
「金魚すくいの紙なんて妙に脆いし」
「水の中に入れてもな」
「胡散臭いっていうと」
梅原は考える顔で言った。
「結構ね」
「胡散臭いな」
「それは事実だよな」
「一等は誰も獲ったことなくて」
「輪投げも金魚すくいもな」
「どれもな」
「普通に売っているカードとかも妙に」
それこそというのだ。
「怪しい感じするし」
「本物かどうかな」
「怪しいところあるよな」
「バッタもん臭いよな」
「本物でもそう思うよな」
「しかもね」
さらに言うのだった。
「食べものだってね」
「ああ、何か混ぜてるみたいな」
「普通のお店にない感じあるよな」
「たこ焼きでもお好み焼きでも」
「クレープとかでもな」
「何もかもがね」
わたがしの店を見つつ言った。
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