第134話『ミラーハウス』
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中から人がわーって出てきて──」
「つまり、襲撃にあったってことだろ? 敵は何人だ? どんな奴らだ?」
戸惑う晴登に対して、伸太郎は状況をすぐに飲み込んだ。そして結月に詳細を尋ねる。
「えっと、20人くらいかな? 教室のいた人数と同じ」
「……それはどういうことだ?」
「鏡から出てきたのは、ここにいるみんなと同じ姿をした人達だったんだ。匂いがないからボクには見分けが付いたけど、引き剥がすのが大変だったんだから。ボク自身がいたのもびっくりしたし」
「余計に信じられないんだけど……」
結月の言葉だから信じないという選択肢はないのだが、あまりに現実味がなくて信じるに至れない。
自分と同じ姿をした人が鏡の中から出てきて連れ去ろうとしてきただなんて、こんな非常事態でもなければ夢でも見ているんだと一蹴する方が早い。
「結月ちゃんが言っていることは本当だよ、三浦君!」
「もう凄かったんだから! ずばばばばってやっつけてて!」
「俺なんか何もできなかったよ。負けた……てか正直惚れた」
「その子には本当に助けられました」
「ちょ、ちょっとみんな、照れるよ……」
しかし、教室に残っていた人達が証人となり、結月の話を裏付ける。ここまで言われたとあっては、さすがに信じざるを得なかった。
「とりあえず、みんなを守ってくれてありがとう」
「えへへ。でもごめん、廊下にいる人達までは守れなかった」
「なるほど、だから人がいなくなってたのか」
教室にいるみんなを守ってくれた結月を褒めると、彼女はさっき以上に破顔する。
一方で、教室の外にいた人達は守れなかったことを気にしているようだが、むしろ咄嗟の事態によく対処できた方だろう。さすがである。
まさか、伸太郎と話し込んでる間にこんなことになっていようとは。全然気づかなかった。晴登達が狙われなかったのは偶然だろうか。
「さて、どう思う? 伸太郎」
「人間の複製……普通じゃありえない話だ。でも鏡の中から出てきたって言うなら、鏡に映ったものがコピーされて出てきたって見方はできる」
「"反射"に"複製"……厄介な能力だね」
「それだけじゃない。『鏡の中から出てきた』って言ったろ。奴らにとって、鏡は移動手段なのかもしれない」
鏡の中に入って移動する力。漫画で見たことある力だが、確かにそれなら鏡男やみんなが急に姿を晦ましたのも納得できる。もしかすると、今この瞬間にも鏡の中から出てくるかもしれない。
「ただ、わかんねぇな」
「何が?」
「さっきの話だと、複製体は本体を連れ去ろうとしたってことだろ? そして現に連れ去られた奴もいる。一体何の目的があるんだ?」
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